インタビュー
ふと、私は聞いてみた。
「…なんでそんなにリリシアは有能なの?」
聞かなければよかった気もする。
聞かない方が良かったことも、聞いてよかったことも、耳に入れば全て同じだけど。
カチ、カチ……
このまま時計の音で消えてくれたら楽なんじゃないか。
「私はね、とある国の姫だったんですよ。」
うふふと、どこかの遠い山を見る目をしていた。
掴みたいけど掴めない、まるで猫を捕まえるような感覚。
「でもね、なれなかったんです。」
リリシアは話しだした。
リリシアは東の和の国に生まれたという。
産まれたては第一公主として崇められたが、私の母は双子で生まれた。
だが、幸せなおとぎ話でもなく、綺麗に飾られた写真のエピソードでもないこの世の中だった。
妹も同時に婚姻、出産。
「私は女。でも、あちらの方は男児でした。」
当然、和の国でも男児が格上の存在となった。
神だ神だと崇められ、飽きられた次にはもういらないと捨てられる。
「子供のおもちゃの気分でした。」
遊ぶのは楽しい。
遊びにも興味がない子供のような人間が、急におもちゃに飛びついていく光景はなんとも奇妙で、
どうしようもなく面白かった。
瞬きする間もなくリリシアは端へ端へと追いやられ、遂に王宮を出て遠い西の離宮で暮らすこととなった。
「でもね、面白くないおもちゃを作ったのはあちらなのよ。」
この名前も本名ではない。
本名は、猫姫。
「それで、西に逃げた時、名前をつけましたの。」
生まれてきた妹は病気を患っており、
「私の国では病気と双子は不吉とされていた。」
下級品の扱いをされていた叔母と
“元”上級品の扱いをされていた私。
「似たもの同士な運の悪い人ったら。」
自嘲的に笑うその姿はどこか痛々しい。
「太陽がふたつあるなら明るくて良いんじゃないか?」
純粋に思ったことを言うのは癖だ。
少し困ったように目尻を下げて、
「明るすぎもほどほどにしなければいけなかったの。」
耳に入れば同じだと思っていたことも、
何味にでも変わるものだった。
「で、でも病気は治せたんじゃないのか?」
ええ、そうよ。
でも、
「隠されてしまったからどこにいるかも分からないわ。」
どうしようもなく喉奥が疼く。
砂漠に水を撒く感覚。
「でもね、その男児は見つかったわ。」
誰だ。
「それはね、」
「理仁という、第1王子よ。」




