始まりの気持ち
#01
ガタン…ゴトン…
不規則な音が聞こえる。
わざわざ馬車なんかで行かなくても、車があるのにな
と、恋火は思う。
恋火は大きな大陸にある、酔国の姫だ。
親の国王に、姫として勉強してこい、とここに連れてこられた。
家の車は慣れているし乗り心地も良い。それに比べて馬車は…硬いクッションが腰を痛めるのだ。
「そろそろ着くようです」
聞き慣れた従者の声が馬車内に響いている
似たような重い装飾がつけられた数々の豪邸通りを抜けていき、やっと見えたのは私が1番だと言わんばかりに主張が激しい豪邸だった。
「着きました。お荷物はどうされますか?」
と、従者が問う。
「自分で持つから。じゃあ、行ってきます」
大きな噴水に、ゴージャスなカーペット。
それに見合うように着飾ったお偉いさん。
(勉強するには不似合いだな)
ここは豪邸でもない。宮殿でもない。
学園なのだ。
吹き抜けの玄関を進んでいくと、見慣れた顔があった。
「うわっ、愛華。なんか暑そうだな」
思わずそう言ってしまった
「聞こえてるわよ。友人にそんな口を聞くなんてね」
くりんくりんの茶髪を大きなリボンでツインテールにし、小柄な桃色のフリフリのレースつきワンピースの女の子がいた。
どうもメルヘンチックで、豪奢なこの場所には不格好だ。
「朝から嫌なこと言うわね。もう、気分を害したわ。先に行ってるわね」
と言って姿を消してしまった。
(じゃあ私も行くか…)
鮮やかな深いワインレッドのカーペットの階段を登る。
(これ…輸入品か?珍しい高価な金が縁に塗られてる)
本当に勉強する場所に使うにはもったいない代物だ。
別の国から輸入しないと滅多に手に入らない。
(一体、ここの物は誰が揃えているんだ?)
実はこの学校、どこの国の学校でもないのだ。
この世界のの中のどこでもない。
世界の片隅に居座る大きい学校なのだ。
小さな国と言っても過言ではないくらい学校も周りの街も大きいのでいつか権力者たちが俺のものだと争いそうである。
「やべっ!もうこんな時間か、」
さすがに初日から遅刻はやばい。
急いで階段を駆け抜けて、やっと教室に着いた。
「ここが私の教室か」
(上手く馴染めるかなぁ)
大きな大陸の一つの国の姫、恋火はどんな学校生活を送るのだろうか。
誤字脱字あったらごめんなさい
少し再編集しました。