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プロローグ

【ドジっ子令嬢•ウルド視点】


(控えめに言って死んだと思います)



 ここは聖♡星叶学園《セイント♡ほしかながくえん》の卒業パーティー。

 私、ウルド=フロレンスは辺境出身の貧乏令嬢! 落第寸前とはいえギリギリ学園を卒業できることに安堵していました。何故なら、私達の代はキセキの世代と呼ばれる王太子やその側近などが居る世代。試験という試験は平均点がバリ上がり、校外活動もレベルが高く、私のような落ちこぼれにはつらい環境だったのです。


(これでやっと、お父様に顔向けが出来ます――)


 涙を拭きながら私は食べ納めになるだろう王都のめちゃイケビュッフェを頬に詰めます。私は卒業後は故郷である辺境でのんびりと過ごしてから将来のことを考えようと思っていました。


(ん……? ちょっと、食べすぎましたかね)


 入学時に買ってもらったドレスを調整しながら着ていましたが、流石に三年の間で少々サイズが変わってきたようです。これは私の自制心がないのが悪いのではなくて、王都の食事が美味しいのがギルティとします。


(まぁ、辺境に帰ればいくらでも農作業で痩せられますし――)


 贅を凝らしたシャンデリアや貴族連中の豪華絢爛な衣装を見ながらそんなことを考えていたときでした。


「ジョセフィーヌ!! お前を断罪する!!」


 何度か恋愛小説で読んだことのある、|王太子御乱心婚約破棄見世物テンプレが目の前で繰り広げられてしまったのです。


「ジョセフィーヌさんは、いつも私を陰で虐めて――マナーがどうとか――ノートが水没したり――階段から突き落とされて――」


(わぁ、進研ゼミ(恋愛ファンタジー小説)でやったところだ!)


 余りにも聞いたことのある物語に私は海を越え山を越えて宇宙まで深く頷きました。王太子の周りをその取り巻きであるイケメンたちが取り囲む姿まで挿絵の通り。


(この後の真打ち登場に備えなきゃ!)


 舞台に近づいたその時です! 私はキツくしまったウエストに違和感を覚え、ドレスに足を引っ掛けて転んでしまいました。


(しまっ――!)


 転んだ先は氷の参謀と呼ばれる男、ランティス様で。慌てて掴んだのが彼の正装のズボンだった訳で。


 ズボンが下がると下に着ているお召し物が公衆の面前に晒される訳で。


「フラミンゴ、柄」


 スローモーションで顕になったのはフラミンゴの総柄でした。総柄ということは、小さなフラミンゴがおパンツの至るところでポージングをしているということで。


 悲鳴を上げるファンクラブ会員の淑女達、怖い者知らずに笑い出す学友達、彼の恐ろしさから青褪めて声も出ない人達、辺りはパニックに包まれたのです。


(えっ、こんな婚約破棄シリアス場面でギャグ始める人とか居ます??)


 居ました。私です。


「し、失礼いたしましたーー!!」


 私は彼の顔を見ることすら出来ずに逃げ出しました。

 この出会いが私の人生を変えてしまうとも知らずに。


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