Episode.27
私は気付いたたらベッドに転がされていた。
それでもまだ意識がぼんやりしていて、何も考えられない。
「眠るな!しっかりしろ!!!」
誰かがそう叫んでいるように聞こえる。
私は声の主に大丈夫。と答えるように手を伸ばす。
その手は空をきらずに握り返される。
「これを飲め。」
そう言って体を起こされ、ティーカップを手渡される。
私は微かに聞こえるその声に従って、一口啜る。
苦すぎる…こんなの飲めない。
私は飲み込まず、口から出してしまった。
そして隣にいた人はティーカップを取り上げ、一口、口へ含むと私の口へと口移しで飲ませられた。
一瞬何が起きたのか分からなかったが、私は反射的に口の中に流れ込んできたお茶を嚥下した。
先程口に含んだお茶とは違い、少し唾液が混ざり甘く感じた。
「……ウィル様?」
しばらくして意識がはっきりとしてきて、私は驚いた。
ウィル様の顔がゼロ距離にあるのだ。
私は驚きのあまり離れようとしたが、ウィル様は1度目を開いて、私が正気に戻ったのを確認すると、さらに深く口付けた。
そして何度も角度を変えてキスを落とした。
「ウ、ウィル様!?」
「もう、大丈夫か?」
「はい……私、一体どうしてしまったのでしょうか?」
「症状から察するに、君が先程飲んだシャンパンに微量のアヘンが混ぜられていた。」
私はそれを聞いて言葉を失った。
そんなまさか……本当にアヘンだったなんて…
私の嫌な予感は当たっていたと言うのね?
そして一息も置かぬ間に、ウィル様の部下が、私にシャンパンを渡した給仕、そして割れたグラスを片付けた侍女が連れて来た。
「失礼します。コチラのおふたりです。」
ウィル様は2人を見るなり、給仕の胸ぐらを掴み、低いドスの効いた声で尋ねた。
「お前…誰の命令だ?」
「た、ただ私は、執事長にシャンパングラスが乗せられたトレーを持って、そこの女性に渡すようにと命じられただけです。」
「わ、私は、そこの女性に頼まれて、グラスを片付けるための袋を用意して、片付けも手伝いました!」
給仕は苦しそうに、侍女は怯えきった顔でそう告げる。
見る限り2人は嘘をついているようには見えない。
ウィル様は手を離し、続けた。
「その片付けたグラスはどこに?」
「侍従長にすぐに捨てるように言われましたが、その後すぐにゲストの方に別の用命を頼まれまして、まだポケットの中にございます。」
侍女はそういうと、怯えた手でポケットをまさぐり、袋を取り出した。
あれは紛れもなく私が割ってしまったガラスの破片たちが入った袋だ。
部下はさらに侍従長を連れてきた。
ウィル様は、お前に指示を出したのは誰だ?と、冷たい目線を向けながら問いかけた。
侍従長は観念したのか、ひと呼吸おいてその重い口を開いた。




