Episode.25
それからまたしばらく揺られ、夕方には次の目的地である公爵家へ到着した。
使用人の総出で迎えられ、手前には公爵閣下の姿が。
「お久しぶりです。アーシェングロッド公爵。」
「お久しぶりです。ウィリアム皇太子様。」
「初めて。ロレーヌ侯爵が娘エリザベス・ロレーヌです。短い間ですが、よろしくお願い致します。」
「こちらこそ。初めまして。楽しんで行ってください。」
ウィル様とアーシェングロッド公爵が握手を交わし、私もそれに続き自己紹介をしてカーテシーをする。
アーシェングロッド公爵はこの国の国王様の叔父である。
優しそうな笑顔に、柔らかい佇まいは、好々爺然としている。が、それに似合わず実は元近衛騎士団、団長だったりと強い一面を持ち合わせている。そして何より曲がった事が大嫌いな性格だそうで、前国王は私利私欲の限りを尽くし、悪政を国民に強いていた所、アーシェングロッド公爵が我が帝国と手を組み、罪深き王殺しを行った。
その結果、国は悪政がなくなり、帝国の属国としてお飾りの王。そして国民は良い生活を手に入れた。その代償に公爵は僻地へ飛ばされる事になった。
私たちはそのまま応接室へ案内された。
私は訳が分からなかったが、先に退室できるような雰囲気でもなかったため、空気になる事に決めた。
「皇太子殿下、この度は誠に申し訳ありません。」
入室するなり、公爵は開口一番謝罪を述べ、地へ頭を着け謝った。
私はわけも分からず言葉を失い、公爵とウィル様を交互に見遣り、困惑を隠せないでいた。
「顔を上げて下さい。公爵。公爵に非は無いのですから。」
「いいや、あやつを甘えさせて育てた儂の責任だ。まさかここまでとは…」
「まぁ、その事については追追話すとして、今、この度王国の社交界について、何が起こっているのか教えてくれるかい?」
「はい。」
公爵は猛省している様子だった。私にはさっぱり訳が分からない。だが、公爵の話を聞き、驚愕してしまった。
感想を言うのなら、最早ここまでとは…といった感じだろうか。
「あぁ〜疲れたぁ〜」
食事と湯浴みを済ませ、侍女が下がったタイミングで客間のベッドにダイブした。
こんな所私の乳母に見られでもしたら、説教だけでは済まないが、今は1人だ。
私は今日のウィル様と公爵の話を思い出しながら、原作を思い出す。
何故、ウィル様が地方視察へ向かったのか。
何故、ウィル様が視察先の貧民街へいたのか。
点と点が繋がる感覚がした。
いくら物語の中だからと言っても、御都合主義で動いている訳では無い。
一つ一つに意味があるのだ。
そんな事実が、改めて私は小説の中に転生したのだと思い知らされた。
「婚約破棄も出来ていないし、ウィル様はヒロインと出会っているはずなのに、フラグが1本も立たないし、話は何故か違う方向へ進むし、本当にここってあの小説の中なの?」
いつもこの作品をお読み頂きありがとうございます。
初、後書きです。正直ネット人見知り過ぎて何書けばいいとか全く分からなかったんですけど、今後の活動のためにも、軽い自己紹介と今後の活動についての軽いご報告をさせていただきます。
よろしければ最後までお読みいただけると幸いです。
まず、名前はSoLと書いてソルと申します。
年齢は21の、1歳の子供を育てているシングルマザーです。
基本的に私の作品は、私がこんな設定の話が読みたい!!と書き始めることが多くて、話の内容は書きながら決めてます。
なので、最初の想定とは違うところに話が落ち着く…なんて事も多々。
黒歴史ですが、小6から高1まで占いツクールの方で夢小説書いておりました。ので、多々と表記させて頂いております。
占ツクの癖で1話短いのが抜けない…(言い訳)
そして、今後の活動について!
この度私SoLは、中途採用での正社員勤務が決まりました〜!!!
就職活動中だった為、週一更新すら出来ない事が多々ありましたが、これからは安定して、週一更新して行ければなと思っております。
基本的に金土日、3日間の内に更新したいと考えております。
ので、これからもこの作品そしてまだまだ他にも考えておりますので、どうか最後まで見ていただけると幸です。
これからも応援よろしくお願いします。