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Episode.19

 そして翌日。一睡も出来ぬまま、私は朝を迎えた。

 今日は私主催のお茶会だ。

 私のお茶会は、毎年1年読んだ中で1番面白かった本の紹介だ。

 3年前から始めたこのお茶会は、毎年社交シーズンに国立図書館へ行き、気になるジャンルの本を読んでいる令嬢を私自らスカウトして始まった。


 最初は全員合わせて5人程度の小規模な物だったが、次の年は7人、その次は8人、そして去年はなんと増えに増えて13人となってしまった。



 ジャンルで言うと、恋愛、冒険、政治、歴史、神話、経済、その他各学問。

 皆それなりに知識と教養があり、専門外の話でもある程度の会話を続けられる。

 私の楽しみの一つだ。



 今年も新しく1人だけ招待状を渡した。



「早く時間にならないかしら?」

「本当に楽しみなのですね。」

「えぇ!だってみんなこの1年更に知識を付けているのよ?とても楽しい会になるわ。コニーもそう思うでしょう?」

「はい。お嬢様の仰る通りです。」



 最終チェックを終えた私は、邸宅敷地内にある図書館へ向かった。

 代々本好きな先祖様達が集めた沢山の書物。中には歴史的貴重価値のある本もあるのだとか。

 計算され尽くした内装、陽の光が当たらぬように本棚のある左右の壁に窓は一切ない。

 その変わり、大きく開いた中央の壁に美しいステンドグラスの窓と、その上に主採光となる横長の窓。

 陽の傾き加減が変わっても本に光は当たらない。

 完璧な設計だ。


 ステンドグラスのすぐ下には、今日のお茶会をするために長方形のテーブルに人数分の椅子。

 そして中央の通路には本が読めるように並べられた1人がけの簡易机と椅子。

 完璧だ。




「お嬢様、アナスタシア侯爵令嬢がご到着されました。」

「分かったわ。お出迎えしましょう。」


 急いで図書館の入口前へ向かう。アナスタシア嬢は馬車を降り、私へカーテシーをする。

 私もカーテシーで返し、お互い見つめ合い笑顔になる。


「お久しぶりですわ。アナスタシア嬢。」

「お久しぶりです。エリザベス嬢。」


 アナスタシア嬢は女性にしては長身の細身で、小柄な男性とそう変わりない体格の令嬢。

 そしてその体格を活かし、髪を短くし男装をしている変わった令嬢だ。

 ちなみに、趣味でしているらしい。

 彼女とは昔から母親同士が知り合いで、お茶会で会うと挨拶する程度の仲だったが、最初のお茶会を気に意気投合。

 今では良く手紙でやり取りしている。

 高位貴族にしては珍しいが、主に領地で暮らしている。




「ねぇ、聞いたんだけどエドモンド兄さんと恋人になったんだって?」

「えぇ。そうなのよ。実はね。」

「兄さんったら酷いよね。いつから?って聞いても子供にはまだ早いってはぐらかしちゃうんだから。私たった2つ年下なだけなのに!!」

「まぁまぁ。可愛い従妹(いとこ)だからこそ、気恥ずかしくて言えないのでは無くて?かく言う私も恥ずかしいもの。」


 ちょっとくらい教えてくれてもいいじゃない!そう言ってむくれる彼女。

 やはりまだまだ16歳の可愛い女の子だ。

 そしてエディとは母方の従兄妹同士であり、社交シーズンはエディの屋敷に滞在しているそうだ。




 そして続々と招待客がやって来て、残るは今年初めて招待した令嬢ただ1人となった。


「遅れて申し訳ございません!!!」


 そう言って図書館の扉を開け入って来たのは、私達が街をお忍びで出歩く時のような小綺麗な平民服を来た少女だった。


「あら!やっと来たのね!いらっしゃい!」


 招待状を渡した時もお城の侍女の制服を着ていたので、察しはしていたが最後の招待客は平民の少女だった。

 しかし、ここには身分差別をするような人は居ない。

 だからこそ、私はこのお茶会に招待したのだった。


「改めて、ご招待ありがとうございます。エリーゼ・ポッターと申します。不束者ですが、よろしくお願いします。」


 エリーゼ…?エリーゼって!あの!?原作ヒロインのエリーゼなの!?

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