表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/26

Episode.12

 馬車に揺られること約20分。侯爵家の屋敷へ到着した。

 本日のお茶会を担当してるのであろう侍女が出迎えてくれる。

 私は彼女へもらった紹介状を手渡す。

 彼女は中身を確認し、「こちらへ」と中庭へ案内してくれた。

 さすが、侯爵家とだけあって、立派な屋敷に、立派な庭。

 庭の管轄は女主人の仕事。つまりは夫人の趣味によってレイアウトは左右される。

 ここの庭は今まで見た中で類を見ないほど素敵に飾り付けられている。

 侯爵夫人はとてもいい感性なのだろう。


「とても素敵なお庭ですね。」

「ありがとうございます。」


 侍女はまるで自分が褒められたかのような笑顔で、礼を言った。

 主人の名誉は使用人の名誉。さすがプロだ。

 高位貴族に雇われているだけに、教育がされている。



「お嬢様。エリザベス・ロレーヌ侯爵令嬢がいらっしゃいました。」

「ようこそいらっしゃいました。エリザベス様。」

「本日はご招待ありがとうございます。アンナ嬢。」


 同じ侯爵位だが、貴族の序列で言えばロレーヌ家の方が位が高い。ので、必然的に私は上座へ座る事となる。

 私以外の招待客はみな集まっていた様で、私が来るのを待っていた。

 私が席へ着くなりアンナ嬢は立ち上がり、始まりの挨拶を告げた。

 私達はティーカップに手を添え、アンナ嬢の合図で少し持ち上げる。


「本日はお日柄もよく、お茶会を開けた事を嬉しく思います。では、存分に楽しみましょう。」


 私達はお互い顔を見合せ、笑い合い、楽しいお茶会が始まった。



「そう言えば、今年のお庭は例年とは違うテイストのデザインなのですね。とても素敵だと思いますわ。」

「ありがとうございます!実は今年は私が考えてみたのです。去年のシーズン終わりから着手して、頑張りましたの。」

「そうなのですね!アンナ嬢は才能がお蟻ですわね。」


 庭を歩いてきた時に素敵だと思ったので、こんなに心惹かれる庭園を作れるのは素晴らしい。

 アンナ嬢はセンスがあるのね。すごく感心したわ。

 私の言葉を皮切りに、みんなそれぞれ庭の素敵だと思った部分を言い合う。


 そうだ!これだ!!もし結婚した時に開くサロンは、庭園管理にしよう!アンナ嬢を中心にみんなでたくさんのレイアウト考える。いいかもしれない。

 活動回数も少なくて済むし、みなセンスを磨けるようになるわ!

 悩みの種が1つ解消された。

 嬉しさのあまり、ついついお菓子を摂る手が止まらない。



「そう言えば、昨日の夜会!エドモンド様と来ていらしたみたいでしたけれど…」

「そうそう!とても仲睦まじくて、私思わず見とれてしまいましたわ。」

「他のご令嬢達の間では、エドモンド様がエリザベス様に横恋慕してると言う噂で持ち切りですわ!」

「実際どうなのですか!?」


 あなた達…そんな人の名誉に関わる噂本人に聞くものでは無いわよ……と内心思いつつ、どう答えようかと思いあぐねていた時だった。


「あなた達、そんな事は本人に聞くものではありませんわよ。仮にも貴族ともあろう方がはしたないですわ。」

「アンナ嬢…私は大丈夫ですわよ。ありがとうございます。」

「いいえ!こんなお話、ここでするものではありません!ですが、私は応援していますわ!まるで公爵令嬢の涙のような……」


 公爵令嬢の涙……?初めて聞いた。何それ…?

 アンナ嬢は事情は分かっていますわ!と言わんばかりに得意げに頷いている。

 多分これは何も分かっていないやつだが、ここは私たちの計画通り、否定も肯定もせず、あえて沈黙していよう。

 私は「うふふ」と笑い、みなの想像に任せる事にした。


 このまま噂が広がれば、ウィル様も婚約破棄をしてくれるはず!そしてヒロインのいる地方へ!

 まだ遅くない!地方視察へ行くのだ!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ