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引き締めて

「どう?これで少しは自信ついた?」

「はい。でももっと前からメイクやお洒落してたらと考えてしまいます」


自分に自信がないばっかりに虎生くんに無理やり迫っているようじゃ振り向かれるわけがなかった。

そう思い昨日までの自分を恥じる。


「何言ってるの。たしかに今日院内さんは一歩踏み出した。けれど過去の自分が努力してなかったわけじゃない。もがいてもがいてようやく踏み出した一歩よ。だから昨日までの自分も誇りに思いなさい」

「先生。ありがとうございます。私これからもっともっと可愛くなります!」


やっと前に踏み出せた。

私だけの力じゃなくて大好きな虎生くんやライバルの陽菜ちゃん。支えてくれる先生や皆のお陰だ。


「そういえばこのチーク。桜の花びらみたいな色ね。院内さんにピッタリじゃない」

「本当ですね。身近な所にヒントって隠れているんですね」


先生と笑い合う。

さくらって名前が今までそんなに好きじゃなかった。

だって満開の桜はあんなにも綺麗なのだから名前負けしてると思っていた。

だけど今は私の目指す場所。そう思えている。


「先生ありがとうございました」

「いいのよ。今日はこの辺にしときましょうね。メイク練習して固まってきたら今度はコラボの内容もしっかり煮詰めていきましょうね」

「はい!」


忙しい中時間を割いてくれた先生には感謝しかない。

私の可能性まで見つけてくれたんだから信じて突き進むしかない。


先生の家を出てこのまま家に帰ろうか迷う。

せっかく可愛くメイクしてもらったのに家に帰って洗い流すのも勿体ない。

少し散歩でもして帰ろう。

そうだ近くのショッピングセンターで水着を見てみよう。

この前の海の時は昔の水着だったしちょった露出も多かったから新しいの探すのも有りかもしれない。


ショッピングセンターに入るとやっぱり涼しい。

この時期自動ドアが開く瞬間は快感だ。

んっ?

流れてきた冷気の中に知っている香りが。

案の定前に虎生くんと陽菜ちゃんがいた。


「こんにちは」

「うわっ!委員長こんにちは」

「げっ昨日宣戦布告してきてなんの用ですか」


不機嫌そうな陽菜ちゃん。

やっぱり可愛いな。でも私は超えなくちゃいけないんだから。


「いえ。偶然見かけたので声を掛けただけです」

「そっか。委員長今日なんだか可愛いけどどうしたの?」


え?え?え?え?え?え?

虎生くんに今可愛いって言われたよね!

嬉しくて今にも飛び跳ねちゃいそう。


「なに妹の前でナンパしてるんだこのクソにい!」

「いてててて」


あぁ。それでもやっぱり虎生くんの隣はまだ陽菜ちゃんなのよね。

悔しいな。


「それじゃあまた学校で会いましょう」


返事を待たずに行ってしまった。

敵を目の前にした事で私の心の中は燃え上がっている。

浮かれていた心を嫉妬で燃やす。


「家に帰って作戦立てよう」


悩んでる暇はない。

この夏を最高の夏にするために私はなんでもする。


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