私って可愛い?
授業が終わり皆が部活や下校している中、私は進路指導室に向かっていた。
先生に話があると伝えたところ最適な場所があると、ここを教えてもらった。
ドアを開け中を見渡すが先生はまだ来てないみたいだ。
イスに座り胸の内の思いを整理する。
きっとこの決断に間違いはないと再確認するため。
5分程待っていると先生が来た。
「ごめんなさい遅くなっちゃったわね。あっ座ってていいわよ」
今日この場を設けて頂いたお礼を言おうとしたのだが静止される。
向かいに先生が座り早速本題に入る。
「さて。珍しく院内さんから相談ってことだけどどうしたの?」
「私は……」
先程決意したばかりなのにいざ言葉にしようと思うと出てこない。
しかし先生は急かすことなく私が喋り出すのを待ってくれている。
一呼吸置き決意を固めた。
「私は虎生くんのことが大好きです」
「うん。そうね」
「だけど虎生くんには陽菜ちゃんがいる」
「あの2人は兄妹よ?」
「私も最初はそう思ったました。だから私は可愛くなれば振り返ってくれると信じていました。けれど……」
最も言いたくないが紛れもない事実なので決して避けては通れない。
「虎生くんの目には陽菜ちゃんしか写っていないんです。私が頑張っても虎生くんの視界にすら入れていないんです」
悔しい。
どこか最初は2人は兄妹だから私と虎生くんが付き合えるって思ってた。
だけど虎生くんが求めていたのは純粋に美しいもの可愛いもの。
その先に私がいなかったという事実。
私なんか遥か後ろだった。
幼稚なアプローチしかしてなかったツケだろう。
でも諦めたくない。私は虎生くんが大好きだから。大好きだから
「私は夏休み中に陽菜ちゃんに勝ちたい」
溢れてくる涙を拭くために眼鏡を外す。
偽った自分じゃなくてちゃんと院内さくらとして言いたい。
だから眼鏡をテーブルに置く。
「勝って虎生くんを振り向かせる。いや違う!私が虎生くんの前に立ってみせる!」
そこまで聞いて先生は頷き、ゆっくりと私の手を握り目をしっかり見て
「院内さん。あなたが考えていることは素晴らしいことよ。足を引っ張るわけじゃなくて自らを高めようとすることは本当に素晴らしい。
だけど相手はあの陽菜ちゃんよ?それでも今の気持ちは変わらないのね?」
頷く。
無謀だってわかっている。
経験も知識も何一つ勝っている所がない。
でも虎生くんの視界に入るためにはきっとそれが条件なんだ。
私は虎生くんの前を走り抜けるしかない。
「わかったわ。そういう事なら私も全力で応援するわ」
「先生。ありがとうございます」
「いいのよ。究極のかまってちゃん作戦開始ね」
思わずふふっと笑ってしまった。
究極のかまってちゃん。
なんて私にぴったりな作戦名だろう。
「はい!絶対に成功させます」
真っ向から勝って証明する。
私は可愛いんだぞ。ここにいるぞって。
負けられない戦いが始まった。




