忘れていたもの
遅くなり申し訳ございません。
体調崩して休んでおりました。
また頑張りますのでよろしくお願いします
夜ご飯を済ませ早速買ったチャイナドレスで撮影を始める。
生地などはやはり値段相応のクオリティーだったので陽菜の垢で投稿するのはちょっと厳しいかもしれない。
「それとーこれ!」
陽菜が取り出したのは懐中電灯。見覚えがあるのできっと家のどこかから取ってきたんだろう。
両端に1つずつ斜めに置く。
「安っぽいけど雰囲気はでるよね」
「ほんとだな」
部屋の照明を少し暗くして、懐中電灯でライトアップしたら簡易的だがスタジオっぽくできた。
「これ先生から教わったんだよね」
「なんかいっぱい話てたもんな」
焼肉の時だろう。
あの時は周りに聞かれてるんじゃないかってぐらい熱中して大きい声で話てた。
「これで撮ってみよ!着替えてくるね!」
「おう」
その間にカメラのピントを合わせる。
どのくらい背景をぼかそうか。今回はキツネのお面とチャイナドレスだからかなりぼかした方が良さそうだ。
試しに適当なぬいぐるみを置いて撮ってみる。
まだ経験がないので一発では合わないな。
もう少し絞ってぼかしてみる。
「おにいぬいぐるみの趣味あったの?」
「ねーよ」
着替えてきて戻ったらぬいぐるみ撮っているから驚いたんだろうな。
もう一枚撮って確認してみる。
「陽菜こんな感じで撮ろうと思ってるんだけどどう?」
「ええ!めっちゃいいじゃん!」
自分が思っているよりかなりぼかしてみたが丁度いい。
「早く撮って撮って!」
かなり気に入ってくれたみたいで、ウキウキでポーズ決めてくれる。
半身を取り、チャイナドレスのスリッドを活かして生脚が見えそうで見えない。
暗めに設定してるお陰で生地の安っぽさも隠れていい感じだ。これなら載せれるかもしれない。
「陽菜こっちみて」
「なによ」
すっかり役に入りきりお面越しにでも鋭い眼光がわかる。
いつもはしない顔のアップもお面ありなら出来る。
「もう近いでしょ」
手でカメラを抑えられる瞬間も撮る。
あとで確認したらシャッタースピードがあまり速く無かったので手がボヤけてしまったがちゃんと撮れてたら間違いなく最高の写真だった。
伸ばした手がまるで自分に向けられているのではと錯覚してしまう。
「おにいどうかな」
「いい感じだ。普段見られない色気がプンプンなのににゃーこさんのキャラも壊してなくて……ってどうした?」
「はぁ。おにいカメラを撮るテクニックも大事だけどもっと大事なことがあるでしょ」
「大事なこと?」
「もう」
陽菜の手が俺の顎に伸び、そっと親指でさすりながら
「私を乗せて。おにいのが一番効果あるんだから」
「すまん忘れていた」
小手先の技術に拘るあまり、陽菜を乗せて気分よく撮られてもらうことを忘れていた。
一番大事なことじゃないか。
「撮りなおしさせてくれ!もっと可愛く撮る自信があるんだ!」
「いいよ。その代わり可愛くなかったら許さない」
「なら大丈夫そうだ。俺が一番知ってる」
再びカメラを構え陽菜を画角に抑えたらもうレンズは見ない。見るのは陽菜の目だ。
直感で撮っていく。
「綺麗になったな。なあ陽菜小さい頃おつかいで迷子になった時のこと覚えているか?」
ほんの少しだけ口角が緩む。これで充分だ。
「あのときおにいだって怖かったくせに必死に励ましてくれたよね」
「そうだったけな?すまんそこまでは覚えてなかった」
「もう」
怒り顔も可愛い。
何枚か撮って終了だ。
確認してみると陽菜が見切れていたり、ブレていたりする写真もあったが、2.3枚ほどが先程よりもずっといい出来だ。
「ありがとな。忘れていたこと思い出させてくれて」
「カメラ?それとも迷子の話?」
楽しそうにそう尋ねて来るが、どっちか答え知っているくせに。
「両方だよ」
「もー時にはストレートに言うのも大事だからね!」
最高に楽しかった。いい写真を撮ろうと最近忘れていた楽しむことができたと思う。
懐中電灯などを片付けて、写真を選び投稿することにした。
「これで完了っと。あっおにい今週の三連休なんだけどさ海に行くことになったから」
なにも聞いてなかったんだが。




