学校終わり
キーンコーンカーンコーン
「起立!気を付け!礼!着席!」
日直が面倒くさそうに号令を掛ける。
1時間目はどうもやる気が入らないのは皆一緒だ。
「じゃあ教科書55ページ開いてねー」
「はーい」
新太郎のやつ。この若い女性教師の前だけ返事するんだよな。
どうにも朝から古典は眠気を誘わられる。
古典自体が眠くなる教科だからってのはもちろんあるけど。
それにしてもどうしてにゃーこさんが俺の妹なんだよ。どうやって目の感じとか変えてたのかわからないし衣装とかもどうしてるんだ。
かなり投稿してるからそれなりの数ありそうだが、、、
あぁ頭ごちゃごちゃになる。
本人に直接聞くべきなんだろうけど、この話題はあまり出したくない。
「虎生くーん。ここの作者の気持ちわかるかなー?」
「え?あ、はい」
しまった聞いてなかった。
黒板を見て大体どの当たりか予想する。
「えーと、〇〇な気持ちですかね」
「うん。そうだねーさすが」
危なかった。
仮にも優等生キャラで通してるからな。
しかし隣の席のやつがうるさい。
「なぁお前今聞いてなかっただろ?」
「うるせーよ」
やっぱり小学生から一緒だと些細な返事の仕方で分かるんだろうな。
実際俺もわかるけど。
そんな感じで結局今日はなにも手に付かないまま学校が終わった。
帰ろうかと思い教科書をカバンに入れているとメッセージが入った。
(おにいへ30分以内に帰って来るように。1秒遅れるごとに1文字さらす)
悪魔のようなメッセージだな。
自分だって危険な立場だろうが。
「おーい虎生カラオケいかねー?」
「すまん今日予定あるわ」
「まじかー予定あるなら無理だな」
「すまん」
玄関を開けると陽菜がストップウォッチを持って待っていた。
「ちっ、、間に合ったか、、」
「なんで残念がってんだよ」
「おにいに今からお願いあるの」
「なんだよ」
嫌な予感しかしない。
わざわざお願いしてくる時ってだいだい良いことないんだよな。
「私のカメラマンして欲しいの!」
「はぁ?」
肩に掛けていたカバンも驚きで落ちてしまった。
か、カメラマン?
「そのカメラマンってお前の裏垢のか?」
こくりと頷く。
「よく俺にバレた後でも続けられるな!
それに加えて俺に撮れってまじかよ」
「いいじゃん!お願いーー!」
「いや無理だって!俺だって実の妹のそういう写真撮るのは抵抗あるって」
「昔は一緒にお風呂入ってたんだからいいでしょー!」
「それは関係ないだろ」
悔しそうに見つめてくるが無理なものは無理なんだ。
俺そんなことしたらお母さんとお父さんに申し訳ないって。
「今日も朝から」
「ちょっとまて」
「僕の息子が元気に」
「待てって言ってるだろ!」
「どうしてもしないって言うならおにいのリプ全部プリントして一枚のTシャツにしてやる!」
「はぁ?そんなことしたらお前だってたたじゃ済まないぞ」
「変態兄妹として生きていこうね」
駄目だこいつ覚悟決めてやがる。
勝ち誇った顔で俺の袖を引く。
やるしかねぇのかよ。
「さておにいに考える時間は与えないよ?どっち?」
下から覗きこんでくる。
くそぉ可愛いのによぉ。
なんでよりによって裏垢なんてしてるんだよ。
俺が拒否したら、俺はともかく妹が学校でもそういう目で、、、
隠しきらなければならない。
陽菜が大きくなって辞めるまで、兄はとして責任を負ってやる。
「わかった。やるよ」
「ほんとにー!?やったー!」
嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねている。
そんな妹とは対照的に玄関のタイルを見つめて絶望していた。
兄失格かなぁー
「おにいさっそく2階にきて!」
「はいはい」
俺は言われるがまま妹に付いていった。
せめて妹に送ったリプは消しておくか。
なんて考えていると陽菜は立ち止まり満面の笑みで
「あ、おにいのリプは全部スクショしてるからー」
「、、、、」
可愛くねぇ