先生宅2
「まあ陽菜ちゃん虎生くんが気に入ってくれて良かったわね」
「兄のあんな姿あまり見たくなかったですけど」
そんな言われるほど酷い顔してたのか?
たしかにあの時はなんて可愛いだって思ったけど。
「陽菜ちゃんはどんか感じで撮りたいって考えてるの?」
「私は今日着て思ったんですけど、可愛い感じよりか美しいに重きを置いたほうが良いと思います」
「私も賛成。陽菜ちゃん綺麗な黒髪だから巫女さんの衣装似合うのよね」
「ありがとうございます。でも歩くの難しいので転ばないようにしないと……」
陽菜には新衣装に注力するように言われてたけどやっぱりここは俺も参加したい。
2人の会話に割って入る。
「あの……陽菜を見た瞬間どうしても撮りたいのが浮かんで来たんですけどいいですか?」
「もう、おにい休んでていいのに」
「なに?気になるわ」
先程少しながら浮かんできた光景をどうにか言語化する。
「陽菜と先生が正対する形で、見つめ合うんじゃなくて……あっ!そうだ敵同士が初めて会ったようなイメージです」
「おにい難しいよ。もっと具体的に」
「ちょっと難しいから実際にやってもらってもいい?」
「はーい。こうかな?」
先生が陽菜と向かい合う。
そう。横顔が見える感じだ。
「私は先生を敵と思えばいいの?」
「うーんそうだな。敵……というか初めて会った人間の巫女さんを見下すような感じだ」
「そっか。私は猫の妖怪だもんね」
「そう!そんな感じだ」
「先生は?」
先生も見下すような目をお願いしたいけど、どう伝えればいいか。
「先生には毅然とした態度で立っていて欲しいんです。怒りと軽蔑を混ぜたような……」
「うーん難しいけど頑張るね」
こんな抽象的な表現で2人にお願いして申し訳ないがどうしても向かい合う2人が撮りたい。
「そういえば2人が頑張ってくれるから先生も嬉しくなっちゃってスタジオ予約しちゃった」
「「え!?」」
スタジオってけっこう掛かるような………
「いいんですか?」
「いいのよいいのよ。大人舐めんな」
これはより一層気合が入る。
なんとしてでも最高の一枚を撮らねば。
「あっ!ついでに思い出したけど委員長の院内はん!彼女を引きずり込んだの虎生くんでしょ!?」
「え!?ちょっとなんで」
「あーやっぱり」
俺は先日あったことを誤解されないように伝えた。
引きずり込んだとは人聞き悪い。
「おにいが甘いばっかりに……」
「いらないこと言うなって!」
「まあでも院内さんが、あそこまで輝いてるってことは自発的に動いたんだろうって思ってたから心配してなかったけど……」
ゴミを見るような目は辞めてくれ。
たしかに加担はしちゃったけど。
「まあ後々院内さんとも話しましょうね。コラボしたいし」
「先生はどうしてそこまで伸ばすこと考えてるですか?」
先生程のフォロワーがいれば十分に承認欲求満たされそうだが、
「この前も少し言ったけど私両親から勉強しかさせてもらえなかったの。大学入ってもそれは続いて周りはキラキラしてるのにって思ってたの……」
「それから先生になって色んなストレス掛かったからもう今まで我慢してたこと全部しようと思ってね。そしたらもうハマっちゃって」
「なるほど。反動で?みたいな感じですか」
「そう。それね。だから好きなことたーくさん!したいの!」
「よかったらおにいなら時間あるとき貸しますので言ってください」
「ありがとう。でも陽菜ちゃんのお兄さんだから頼らないようには頑張るね」
物みたいに勝手に貸し借りしようとするな。
けれど先生にも色々あるんだな。
小さい頃は大人ってなんでもできるものだと思っていた。
「さて!お腹も空いたしお昼は私が出すわよー」
「え?先生さっき朝ごはん……」
言い掛けたところで圧を感じたのでやめる。
触れないほうがいいこともあるもんな。
その後、先生と回るお寿司屋さんでお腹いっぱい食べて解散した。
意外と陽菜もそういうネタ食べるんだって知らないこともあるもんだ。
陽菜のこともっと知っていつか陽菜の魅力全部引き出せるように頑張ろう。




