先生宅
「母さんちょっと陽菜と出掛けてくるー」
「あら最近多いね!なに?仲良くなった?」
「共通の友達と遊ぶんだよ。母さんやめてよ」
「はいはい。いってらっしゃーい」
先生の家は徒歩で10分程でそんなに遠くない。
陽菜に先程撮った写真について聞く。
「どうだ?さっきの投稿良かったか?」
「うん。いっぱいリプ貰えたよ。やっぱおにいにはカメラマンの才能あるよ」
「あんまり嬉しくないぞ………」
「どうしてー?こんなに可愛い子が間近で撮れるのにー」
「はいはい」
詰め寄ってくる陽菜を交わしながら歩いていると道を挟んだ先のコンビニに知っている人影が。
「おーおー朝からお熱いねぇ」
「先生おはようございます。先生は朝ごはんてますか?」
「げえー私の方が恥ずかしい所見られちゃったわね」
先生の手にはコンビニの袋が握られており、何個かホットスナックも見える。意外と食べるんだな。
「まあ、ちょうどいいし2人ともついて来て」
「はーい」
「陽菜ちゃん朝の投稿みたけどあれさっき撮ったの?」
「はい。最近撮ってなかったので」
「すごいねー。私なんか何日も準備してようやくあのレベルの写真撮れるかなのに」
「カメラマンが良いんですよ」
「あはは、なるほどね」
朝の投稿について話しているとこの辺りでも綺麗なマンションの前まで来た。
ここが先生のお家か。
「私1人だから狭くてごめんね」
「いえいえ。綺麗ですね」
「セキュリティが良くてね。色々と怖いでしょ?」
たしかに女性の一人暮らしは何かと不安だろうな。
男物のパンツとか干したりするっていうのは聞いたことがあるけどそれくらいしないといけないんだもんな。
「どうぞー上がってー」
「お邪魔します」
中も綺麗でなんだかいい匂いがする。って気持ち悪いな。
小さめのテーブルにコンビニの袋を置いて、お茶を2人分淹れてくれた。
「ちょっとだけ朝食済ませるね」
そう言ってコンビニの袋の中からホットスナックを取り出す。
「あっ!虎生くんはこういうの好きかなー?」
そう言って串に刺さった大きいソーセージにかぶり付く。
ただ食べているだけなのに見ちゃ行けない気がしてくる。
視線を逸らしたのが面白くなかったのか陽菜につねられる。
「先生食べ物で遊ばないでください」
「もうー陽菜ちゃんのほうが大人ねー」
懲りたのかささっと食べてしまう。
腹を満たしてやる気が出たようでさっそく話し合う。
「陽菜ちゃん昨日ね黒い巫女さんの服探して見たんだけどこれどうかな?」
「可愛いです」
「だよね!ただ私じゃたまにイメチェンするぐらいにしか着れないのよね」
先生が取り出したのは黒い巫女さんの衣装で袖口や肩口などに赤色の線が入っている。
妖しさがより増しており、堕天使みたいでかっこいいなと思ってしまった。
「ちょっと着てみてもいいですか?」
「もちろーん。でも着替える所脱衣所しかないからごめんね」
「いえいえ、あと着かたがわからないので教えて貰ってもいいですか?」
「あっ!そっか!一緒に行こうね」
2人は脱衣所に衣装を持って入っていった。
残された俺は目のやり場に困るなぁと思うも少し周りを見てしまう。良くないことなのに好奇心に突き動かされる。
「先生すごいなぁ………」
目に入ったのは沢山の小道具。
本当に好きなんだなと思って先程までの自分を恥じる。
頭の中で1人反省会をしている内に陽菜が着替えたようで出てくる。
「おにいーどうかな?」
「え………」
この可愛さを表現するには圧倒的に語彙力が足りない。
まだ上は着替えておらず下の袴だけなのに関わらず俺は確信した。これは成功すると。
控えめに手を前で結び、ただ姿勢は美しく頭から一直線に伸びる黒髪の先端が背中で揺れ、動く度に美しさを主張する。
一歩。また一歩と歩くも袴で足首から下までしか見えず、上半身だけゆったりと動いているように見え上品さを醸し出す。
陽菜は普段ウィッグを被るので黒髪で撮ることが無くとても新鮮に思える。
「おにい変な顔」
「虎生くんわかりやすいわね……」
2人に苦笑いされていたが、俺の頭の中では既に陽菜が上を着て歩いている所まで想像しどんな写真を撮るか。
まるでマグマのように体の奥底から溢れてくるのを感じた。
この溢れ出るものを形にしたい。
俺の意思は明確に固まった。




