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先生

次の日学校で委員長と特に気まずい空気にもなることなく無事学校を終えた。

そして約束の土曜日。

今日は三上先生と会う日だ。

朝から緊張してソワソワしている俺といつも通りリビングでくつろいでいる陽菜。

ここまで兄妹でメンタルの強さが違うものか。


「おにい準備できたよー」

「よし!いくか!」


昼頃に家を出て約束のカフェに着くとすでに三上先生は座っていた。


「あ、2人ともこんにちはー!ほら座って座って!」


いつも通りの明るい声色に少し安心する。

とてもいまから重大な話をする雰囲気でも無さそうだ。


「はじめまして妹の陽菜です」

「陽菜ちゃーん!はじめまして三上です!いっつも見てるよー!実物の方が可愛いなんて反則だわ」

「いえいえ先生こそ。写真とは全然イメージが違って驚きました」

「うーんそうよねー。私もやっぱり若くないからさ。大人っぽさで勝負しないと陽菜ちゃんみたいな若い子に負けちゃうのよ」


2人の話がこれ以上盛り上がると大変なのでこの辺りで話を切り出す。


「あのーところで先生今日呼び出した理由はなにですか?」

「え?送った通りコラボ出来ないかなってことだけど?」


当たり前のことを言ってるみたいな顔されても。

てっきり教師だから何か言いたいことがあると思っていたのだが。


「別に2人は好きなことしたらいいのよ。私はそういうの抑圧されてきたから余計にね」

「なるほど。先生にもそんな過去があったんですね」

「そう。だから好きな事しなさい」


よかった。陽菜の活動を否定するわけじゃなくて安心した。

しかし陽菜の目は未だに鋭いままだ。


「先生?本音を言ってくれないと困りますよ?」

「ほ、本音?えーとほんとに2人の活動を応援してよかったらコラボしたいなって思っただけだよ」

「嘘ですよね。本当のこと言ってください」


どうして陽菜は先生が何か隠してるって思うんだ?なにも不審な点はなかったが………


「はぁー流石にゃーこさんね。年下だと思って舐めて掛かってごめんなさい。本当は最近伸び悩んでいて陽菜ちゃんの力を借りてまた勢い付けたいなってところ」

「先生が本音を言ってくれて良かったです。私も仲良くできそうです」

「はぁーできる妹さんねー」


こっちを見て言わないでくれ。

俺だけだったら騙せたのにって顔して。


「コラボするのに1つだけお願いがあります」

「おっ?強気だねー陽菜ちゃん」

「私の方がフォロワー多いですから」

「すみませんなにがご要望でしょうか?」


年齢より数字が絶対な世界だもんな。

お願いがあるって今初めて聞いたんだが。

もっともそこまで予測出来てない俺にいうことでもないか。


「先生の住所をお借りしたいんです。実家なので新しい衣装が通販で買えないんです」

「あっ!たしかにね!それくらい全然平気だからー!あっ代引きは勘弁してね?」

「ありがとうございます。そこまでしないですよー」


2人共終始笑顔なのが怖い。

たしかにずっと同じ衣装だから陽菜も変えたいよな。

委員長の時の罰も似合う新衣装だったし。


「あっ2人共なにか頼んで!ここは私が出すから」

「ありがとうございます」


陽菜は軽めのサンドイッチとカプチーノを。

俺はナポリタンとカフェラテを注文した。

先生もちょうど飲んでいたものが無くなったのでココアを注文していた。


「ここって静かで好きなのよね。たまに活動に行き詰まった時とかゆっくりして案を出すの」

「素敵ですね。私も悩んだりしたときはお風呂に入ってリラックスします」

「だよねー。虎生くんもそういう場所あるの?」

「え?俺は特に」


「「あー」」


哀れなものを見る目で見ないでくれ。

ただでさえ男1人でアウェーなのに。


「お待たせしました。こちらお先にお飲み物です」

「はーい。ありがとうございます」


先に飲み物が来た。

先生はココアを頼んでたのに追加でシロップ入れてる。どれだけ甘党なんだよ。


「早速だけどどんなコラボがいいかな?」

「難しいですね。私と先生対照的だからどっちかに合わせようにも片方が損しますよね」

「そうなのよ!虎生くんはなにかいい案ないかな?」

「え!俺ですか?

そうですね。和をテーマにするのはどうですか?」

「和?というと?」

「先生は巫女さんなので当然合いますよね。猫も妖怪になったりするので合うと思うんですけど……」


2人共恐らくいま頭のなかでイメージしているだろう。

先生から質問が先にくる


「陽菜ちゃんは衣装変えないといけないけど大丈夫?」

「私は大丈夫です。それよりおにいどんな衣装考えてるの?」

「先生って巫女さんの衣装たくさん持ってますよね?それを貸していただければ」

「ふーんなるほど」


そしてまた考え込む。

この辺りからはイメージをなるべく鮮明にしていく。

お互いにズレが生じないように話し合いが必要だ。


「おにい私は今のイメージカラー紫なんだけどそれはどうするの?」

「陽菜は思い切って黒猫に挑戦するのはどうだ?よりセクシーになると思う。先生は純白の衣装を着たら対比で良くならないかな?」

「黒猫の巫女と純白の巫女さんね。先生は良いと思うけどこれは陽菜ちゃんの方がリスクがデカいから陽菜ちゃんはどう?」

「私は少し不安ですけど黒猫いいと思います」

「よし!じゃあとりあえず方向性は、こんな感じで行きましょうか!あっ!食べ物も来そうだし活動の話はここまで!ゆっくり食べましょう」

「はい」


ふぅ緊張したー!!!

陽菜のアイデンティティを変えるって提案するのめっちゃ怖かったぞ。

でも陽菜には絶対似合うと思ったから提案した。

帰って陽菜と衣装について話し合わないとまだ少し不安みたいだから解消したい。


その後皆で学校の話などしてわいわいして解散した。先生とは連絡先も交換してこれから話し合う予定だ。


「おにい大胆な案出したね」

「いやだったか?」


恐る恐る尋ねると陽菜は俯き肩を震わせながら答えた。


「ううん。やっぱりおにいって私のこと好きなんだなって思っただけ」

「はあ!?どういうことだよ!」

「自分が一番わかってるでしょ?」


にひひと悪い顔して笑いやがって。

悔しいけど陽菜なら絶対似合うって思ってたから何も言えない。


「まあちょうどいい機会だから挑戦してみるけど……」

「けど………?」

「可愛く撮れなかったら許さないから」

「任せろ」


誰より陽菜を可愛く撮る自信がある。

こういうところがシスコンなんだろうな







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