保健室1
今度は見慣れない天井で目が覚めた。
どこだろうと辺りを見渡すが前方はカーテンが掛かっており後方は壁だった。
鼻を刺激するような消毒液の匂いが特徴的で、遅れて保健室に居るのだとわかった。
あのあと運ばれたんだろう。
起き上がろうとするが、全身を打っていたようで特に背中に激痛が走り声が出てしまった。
すると前方のカーテンが勢いよく開けられそこには委員長がいた。
「新城くん大丈夫!?」
「た、たぶん」
「よかったー!私のせいで死んでしまったらどうしようかと」
「そんなに派手に転んだのか?」
「それはもう」
道理で全身が痛いはずだ。
委員長の手を借りてようやく座ることが出来た。
「新城くん、、その、さっきの話なんだけどね」
「ちょ、ごめん。ちょっと待って」
意識を失う前のことを整理する。
こういうとき記憶が一時的に飛んだりするらしいが大丈夫そうだ。
なぜ自分が転んだか思い出したから。
「その、、あのアカウントってやっぱり新城くんので間違いないんだよね?」
「違うよ!あれは委員長が急に見せてきたからビックリして」
俺のアカウントではないので嘘ではない。
知ってる奴のアカウントだけど。
「新城くん。ごめんね私知ってるんだ。妹の陽菜さんと台所でこんな写真撮ってたって」
「え、ええ!?」
どうしてそこまで?
百歩譲って陽菜だとわかったとしても撮影場所まで特定されるのは納得いかない。
「昨日新城くん登校遅かったから学校終わったら後ろ付いていったの」
「、、、」
「普通に新城くん家に帰ったから大丈夫かなって思ったんだけど妹さんと一緒に出てきたからもうちょっと見てみようって思って」
「、、、、」
「そしたらスーパーで三上先生と話してて、、」
「いや怖いって!なに?!どこまで見てたの!?」
「家に帰って陽菜さんの写真撮ってるとこまで見ちゃった」
「なにナチュラルに覗いてんの!?」
「だって新城くん悩み事とかしてるんじゃないか心配で」
「いやしてたけど!!今ので全部上書きされるくらい衝撃だよ!!」
「そんなことはいいの!!」
えぇ、、、
普通に犯罪だし怖すぎだろ。
委員長がストーカーだったとは。
「どうして陽菜ちゃんのあんな写真撮ってたの!?」
「そ、それはだな、、、」
返事に困る。
答える義務も無さそうなのだがここで変なことを言っても周りに広められそうで怖い。
「ううん。大丈夫。言えないのわかるから」
頼む怖いから1人で納得するのやめて。
「妹にそんな欲望向けるくらいなら、、、」
委員長の個性とも言える眼鏡をとり規則正しく揃えられていた前髪を崩し上着を脱ぐと、そこには短髪美少女と呼んでもおかしくない女性が立っていた。
「今度からは私を撮りなさい!」
いつもの委員長からは考えられない程の輝きと自信にみなぎっている。
「ほんとに委員長?」
「新城くんがビックリするのも無理ないよね。私中学まではイジメられてたから高校からは地味な委員長キャラしてたの」
「そんな過去があったのか」
「うん、そうしたら案の定地味な私を気に掛ける人なんていなくてラッキーって思ってたんだけど。新城くんは違ったよね」
「よく覚えてないかも、、」
「もう。新城くんだけは見た目なんか気にせず色々と助けてくれたからなんて素敵な人なんだろうって思ったの」
「えーとそれで、、」
「そこから私は新城くんを毎日観察して守ってたの!なのに、、なのに昨日は、、、」
怖い怖い。要はストーカーに変身しただけじゃないか。
「妹に変な格好させるくらいなら私にその汚い欲望を向けて!そのためにほらっ!」
委員長が差し出したスマホを覗くとフォロー、フォロワー共に0人のアカウントが。
「新城くんの為にアカウント作ったんだから!」
「えぇ、、、」
既にアカウントまで作って本気らしい。
汚い欲望って言われたのは地味にショックだったし、陽菜に撮らされていたのに。
勘違いされているようだがそっちの方が都合良さそうなので訂正しないでおく。
「さあ新城くん。私を撮るか妹を撮るか選んで!」
厄介な2択を出され完全に頭がパニックになった。
こんなことならもう少し寝ておいたらよかったのに。




