プロローグ
「目、閉じなさいよ」
俺の目の前には、学校中の生徒から「聖女」と呼ばれている美少女がいる。誰にでも平等に優しく、困っている人がいれば嫌な顔一つせず率先して、どんな頼みごとでも引き受ける。容姿端麗で成績優秀。
非の打ち所がないくらい完璧な彼女は教師からも一目置かれ、生徒同様に先生たちからも「聖女」と呼ばれている。
腰まである銀髪にエメラルドの瞳。その上、スイカ並に立派な胸。おそらくD以上はあるだろう。
動くたびに揺れるその胸に、男子たちは口を揃えて「一度でいいから聖女の胸に触れてみたい」と言っていた。俺だって聖女が見ず知らずの少女であれば、聖女の胸に釘付けになっていたことだろう。
聖女は女子からも好かれていて、非公認だが女子のみで構成されている聖女ファンクラブなんかもあったりする。「聖女に近付く男は排除せよ」なんていう恐ろしい団体もいるとかで、そもそも男子は簡単に聖女とお近づきになることは出来ない。
放課後の空き教室。そこにいるのは俺と聖女の鈴風悠月だけ。夕日がとても綺麗で、男女がイチャつくには絶好のシチュエーションだ。そんな俺、天月流星は同じクラスである聖女とキスをした。
ここまで聞けば、俺と聖女が男女の関係だと思う者もいるだろう。いや、むしろ、そう思うほどが大半だ。しかし、俺たちは恋人でもなければ、ましてやセフレでもない。
クラスメイトが知ったら、羨ましがられるどころか嫉妬からイジメの対象になることは間違いないだろう。
だがしかし、俺にとって聖女とのキスはこの世で最も吐き気がするほど不快な行為だ。なぜなら俺と聖女は千年前、敵同士だったから。
それでも、俺たちはキスをしなければならない。
……俺たちはある呪いをかけられていた。
それは今から1ヶ月前に遡る。
ひとまずネトコンに参加したいので冒頭しか書いていませんが載せます。続きは近々更新(1話分)すると思うのでお待ちください。