1話:跋扈する魑魅魍魎
暗殺と同時に八咫烏は陰から日の目を浴びることとなった。国中枢の腐ってることが露呈し、決定権の持つ政府ですら、困惑をし続ける状態へとなってしまった。
「皇帝が、死んだ。しかも、八咫烏だと!?これは………」
「親父どうするんだ?ある意味、チャンスだぞ。統治者のいない今ならヒノボリ統一だって夢じゃ。」
「無理だな。お前は、八咫烏の怖さを知らない。多分、領民諸共刃向かったら首から下はないと思え。」
「なっ・・・」
唖然とする青年は父に言われた言葉に困惑を隠せていなかった。彼は、伝令の言葉を聞いてさらにぞっとした。
「嘘だろ………。」
「父上、これは国家転覆とかじゃないですよ!!完全に表舞台に出てるじゃないですか!!報復の度合い越えてますよっ!!」
「う、う~む・・・こ、これでは次に我々、ぐけっ………」
「父上?父う………えっ………」
命の灯が多数消え去った音がヒカリノミヤで鳴り響いた。そして、数日後、皇帝の居城の三の丸正門にて、悲惨なことが起きていた。
「なっ、何じゃあこりゃあ!!」
「皇帝様と、お貴族様じゃないか!!」
「生首が刀に刺さって一本一本が橋に置かれている。何が起きてるんじゃこの国は!!」
ヒノボリの民は完全に混乱した。国の内情が分からない状態に置いてきぼり。しかし、一つ心当たりがあるなら、独裁の政治は消える安堵と共に、平和という絶対に約束された悠久の時間の放棄が確定されたことだった。
一方、ヒノボリ各国の大名は伝えられるとともに様々な反応が受け取られている。
「兄貴!!どうする!!」
「俺ら、イダテ家は八咫烏に組する。」
この言葉と同時に、東北地域の各大名は親八咫烏派へと変わった。一方南東および北中地域は各大名が対応が違う。いい例を挙げるとバントウ家とキタジョウ家だ。ここはバントウが親派。キタジョウは反派となりそれぞれの大名同盟国同士で代理戦争が今にも始まりそうになっていた。
「ううむ。」
「父上。これはどういたしましょう?中央は明らかに入ってはいけない感じもしますが。」
「そうですね。利益が全くないです。しかし………。」
「八咫烏に刃向かうとなれば一家諸共おさらばだろうな。我々は壊れるな。」
西の雄、サンセン家では一家の考えがまとまらずにいた。彼らは八咫烏と領地がつながっていることもあり、反派を示せば、真っ先に矛先を向けられる。彼らは迷う。しかし分断しても利は無い。現状、詰みに近い状況へ陥っていた。
「これは………。」
「兄上。これはどうしたことかっ!!コノエ家の半数が八咫烏に所属表明だぞ!!」
「嘘だろ!兄者これは我らも呼応して八咫烏の小僧に着くべきだと!!。」
「しかし………。」
「迷っている暇はないですぞ。」
「殿ッ!!」
「えぇい!!今はそのような状況ではないのだっ!!」
「黙れ、ヨシカネ。で、何があった?」
「それが………!!」
南の傑物四兄弟がまとめるシマヌキ家は早馬の伝令の言葉を聞くとともにそれぞれが黙り込んだ。一家が誰も発言できないほどに自体は深刻になる。
「兄者。このままでは潰れますぞ。ただでさえ南州は三國で分割されていても2つが天下へ駆けるとなると………。」
「トシカタ、急ぎ右筆を呼び、早馬を用意せい。」
「ちょっ!?兄上!?それは………。」
「うむ。ヨシカネ、トシカタ、イエフサ。我らは八咫烏に組する。そして、南州を統一する。異論は、無いな?」
「「「はッ!!!」」」
シマヌキ ヨシトモの号令と共に、親八咫烏派に組し、南州の統一へ兵を集め、自身も戦場を駆ける準備を始めたのだった。
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一方そのころの八咫烏。
「なぁ、カナメ。お前何で俺の膝の上にいるの??」
「えっ?癒されるためですっ♪」
「………そっか。じゃあ、居て良いけど。変な事企むなよ?」
「リン、そう言って期待してるんじゃないの??」
「………」
「痛っ。ちょっと、無言でデコピンはさすがに無いんじゃない??」
リンは、溜息を吐いた。カナメのグイグイとくる甘えた~いと言った、行動に頭を抱えたくもなった。それと同時に、今あるゆったりとした時間を噛みしめてもいたのだった。
「頭!!伝令っ………何してんだ?」
「あっ、ま、待てっ、エイゲン。誤解をするな。別にそんなやましいことはしていないっ!!」
「………避妊はしとけよ。」
エイゲンはその現場に出くわした途端、誤解をして伝令が書いた報告書をその場に残して消え去った。
「…………。」
「てへっ///」
リンは、再び大きい溜息を吐いてがっくりと項垂れた。