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皇帝の陰  作者: くうき
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プロローグ:陰が日を浴びる時

久しぶりです。

「リン。準備はできたよ。」

「こっちもだ。頭。」

「私もいつでも大丈夫。」

「行きましょうか。殿。後は、貴方の心意気のみです。」


 4つの声が聞こえ、上座に座る青年は暗い底無しの眼を輝かせることなくさらに闇へ落とした。


「じゃあ、やろっか。皇帝暗殺。我々、八咫烏を無碍に扱ったこと、後悔してもらう。ヒノボリは俺が、掌握する。さて、それぞれに言い渡す。死力を尽くせ。これは、我々が日を浴びるためにある。」

「「「「はッ!!!」」」」

「では、行こう。」


 青年もといクモキリ・リンは淡々と声を張り、それに4人。ミカヅキ・カナメ、ウニガメ・エイゲン、アソマ・コドウ、ブスジマ・リョウランが呼応する。彼らは自国の皇帝暗殺へ各々が武器を片手にいた場所から姿を消した。


 ヒノボリの国。現世界において、皇帝が一度も変わらず国政を安定させ続けてきた国。そのことから『沈まない国』という称号を得ては、戦争へ行けば死を顧みず突撃をし国を絶対に守るという防衛本能が人を狂人とさせる。

 

 それだけならいい。これが3000年続き、彼らの国は大陸から孤立し海や自然に抗いながら外敵をも退け、同盟もせず独自の文化を構築し続けていた。


 しかし、ここ現代に来て少し事情が変わってきた。世代が移り変わるにつれて、人々の求められる素質、教養が変わっていき、内政外政に興味を持つ若い担い手が減り、挙句常識の欠如した行動をする愚者が増え続け、品位敷居高く、治安のよかったヒノボリは現在では昔のこと。その政治になったのは現皇帝の父前皇帝の治世からおかしくなった。


 そして、現皇帝になって公家の粛清が行われた。これがすべての引き金となり、皇都:ヒカリノミヤは灰を被り、栄華を誇った全てを無に帰した。そして、皇帝の陰と言われる『八咫烏』のほとんどは皇帝に謀反の嫌疑をかけられ、首を刎ねられた。結果、国の支配体制は、独裁と絶対王政による、民が安全安心と言ったそんな理想とはかけ離れた。地獄がそこには待っていた。


 男は、労働と搾取に喘ぎ、一つでもミスをすれば近衛軍に捕縛、挙句は首刎ねがあり、女は道具のように扱われ、性的搾取から、暴力を受けるお飾りのおもちゃのような扱いを受けた。


 皇帝は、静かに笑みを浮かべる。我は神の子と小さくつぶやいた。誰もいない個室で。


 しかし、愚者の天下はここまでだった。


「な、何じゃ!?朕の部屋の明かりが………消えた??」

「………さぁ、行くぞ。お前ら。」

「「「「…承知。」」」」


 リンの合図と共に皇帝の部屋の明かりは突然落ち、闇に染まった。それと同時に、彼らは、足音が鳴る方向の警備を難なく組み伏せては、血の海へと還した。そして、愚者(皇帝)はと言うと。


「だ、誰なのじゃ!?朕を襲うなぞ国家を滅ぼすと同義ぞ!!」

「虚しいな。皇帝様。貴方は、もう死ぬのです。ヒノボリの皇帝は断絶いたします。」

「な、何を言うんじゃ!!朕の…朕の国家が沈むわけなかろうぞ!!」


 キャンキャンと犬のように吠える皇帝をリンは見ながら魔術を起動する。怯える者はただただ呆然とその魔術を見ていた。


「八咫烏を敵に回し、皇帝の陰を惨殺した罪を報いるがよい。父と、祖父の仇討だ。皇帝。」

「そんなの、朕に逆らったお主の親族が悪いのじゃ!!口を慎め!この・・・」

「もういい。喋るな。『虚之花朔夜』。」


 周辺が削れる。そして、無に帰されていく。音もなく風も無く、血も残らず、皇帝の身体は半分消滅したいた。


「終わったか。ドウゴウ。」

「はッ!!」

「全国各所に伝えろ。ヒノボリの皇帝家は断絶したと。そして、八咫烏が新たな皇帝となり、天下を治めると。」

「分かりました!!」


 皇帝暗殺。その悪名を背負った『八咫烏』は後の歴史書にこう記述される。


「悪鬼羅刹を討ち取り、皇帝を守護するものが真の皇帝を導くために魑魅魍魎を砕く。」と。


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