席替えなんて興味ない
新学期が始まって間もない時期、
「席替えするぞーー」
先生のこの唐突な一言で寝ていた俺は目が覚めた。
今日は席替えの日らしいな。普通の学生には楽しみなイベントかもしれないが俺には関係のないものだ。
おっと、ここで軽く自己紹介をしておこうか。
『宮丘 來斗』
高校2年のふつ~の帰宅部だ。
なんで俺が席替えに興味がないかだって?そりゃあ、わかるだろ?……インキャなんだよ!!
友達は数少ない、お昼はトイレですませ、ペアワークはあまりもの、
だから!!別にどこの席でもあまり、変わらないんだ。
まー、そんな奴だ俺は。
そういうことで、席替えが楽しみなんて思ったことは一度もない。
みんなが出席番号順で前に出てくじを引いていく。
そんな時にある話し声が聞こえた。
「一条さんと隣になりてぇ〜」
「いや、それな!」
中学生みたいな会話するなよ。
そう、俺のクラスには
『一条 七海』という超絶可愛い女子がいるのだ。
顔は完璧。性格はフレンドリーで、親しみやすい。モテる要素を詰め込んだバケモノだ。
みんながくじを引くたびに、
「うわぁ~、最悪」
「よしゃ!後ろの席だ!!」
などの、声が聞こえてきた。
おっと、ボーッとしてたら俺の番だ。あまりこだわりはないが、席は後ろがいいんだ。静かだからな。
こーゆーくじは経験上な、下の方にいい席が眠っているはずだ。
ガサゴソガサゴソ…
よし、これだ!!そう心で呟いた。
運がよく俺は、一番後ろの窓側の席だった。
「全員くじ引いたなー。席移動させろぉー」
先生の合図でみんながいっせいに動き出す。 俺は、席を移動した瞬間、頭が真っ白になった。
虫が目の前に落ちてきた時ぐらいにびっくりした。
いや、それ以上だ。それほどのびっくりだ。
俺の隣が……あの……
一条 七海なのだ。
や、やばい…一応挨拶とかした方がいいのか?
「よ、よろしく」
「よろしくね!」
やべ〜、話せちゃった…
インキャなのに、恋愛なんて興味あるのか?
あるに決まってるだろ!!
昔に戻りたいよ…
てか、ふつーの女子と話したの久しぶりだな。 あと、明日からどしよ。
授業集中できるかな…
やばい…明日のことが心配すぎる。
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