見回り小次郎の朝は早い
初投稿となります。
加筆が多くなりすぎた為、新規での投稿をさせてもらいました。
一度読んだことがある人には申し訳ありません。
追記
新たに連載枠としてこの話の続きを連ねています。
もしよければそちらもお願いします。
俺の名前は小次郎だ。
俺はこの古臭い名前を育ての親から付けてもらった。
意外と気に入っているのは秘密だ。
俺の朝は早い。
起きてまずするのは家の見回りだ。
日が出る前に起きて部屋を見回り、古い家故に湧く虫を仕留める。
今日は二匹しか湧いていなかったのは日頃からやっている成果だろうか?
それが終わると朝ご飯を食べる。
これが朝のルーティーンだ。
その後から昼にかけては外に出掛ける事が多い。
ワルガキどもが悪さをしていないか見回りの仕事をするためだ。
同僚達との連絡も朝と夕方の二回に分けて指定の公園ですることになっている。
今日はまだ今の所、喧嘩も異常も無いようだ。
昼ご飯は家に帰って食べる事にしている。
見回りだと分かるとたまに食品を扱う店から差し入れを貰うことがあるが、毎回貰うのも悪い気がするものの好意を無駄にするのもなんだし貰うのは時々だ。
昼ご飯を食べた後は見回りの続きだ。
昼には一つ問題が起きたようだ。
同僚の一人、環からどうもワルガキがどこそこのプランターの草を全部引っこ抜いて遊んだらしいとの情報を貰った。
犯人は前にもやらかしたワルガキトリオらしく、俺は見回りつつそいつらの補導をすることになった。
案外早く見つかったらしく、夕方にはワルガキ供は御用になったと連絡が来た。
なんでもテンションが上がりすぎて暴れたらしく、やらかした事に後から気付いて物置で震えてたらしい。
親からはきついパンチを貰い謝罪に行ったそうだ。
この夕方の時間になると、見回りは公園が中心になる。
たまにワルガキの集会があるからだ。
今日は無さそうだと安心したものの、別のトラブルが発生してしまった。
公園で遊んでいるちびっこ達に囲まれてしまったのだ。
「あそんであそんで!」
「おにごっこ!!」
親に目を向けると困ったような、でも頼みたいような複雑な顔をしているのを見て、今日は仕方ないなと付き合ってやることにした。
見回りの性質上、地域の人との友好関係も大事な仕事だ。
夜になると仕事は終わり帰宅する。
「おかえりぃ、ご飯できてるよぉ」
よろよろとこちらに歩いて来る育ての親からのおかえりを聞きながら、ただいまの意を込めて。
「にゃーご」
と一言。
俺は猫である。
名前は小次郎。
歳を食った育ての親への恩に、死ぬまで居てやろうと思う男だ。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
少しでも読んでプラスの気分になってもらえていると嬉しいです。