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ブランクアームズ ‐隻創の鎧‐  作者: 秋久 麻衣
第二話 -世界の裏側-
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争乱の種子


 映像の中で、《ブランク》レリクスがアロガントを殴り付けている。その研究室では、複数の人間が慌ただしく動き回っていた。ドクター・フェイスが所有しているような、手狭な研究室とは規模からして違う。

 大きなモニターに映し出されている映像は、高高度から無理矢理記録した物ではあったが。こうして見る分には何も困らない。研究者達は手元のタブレットで想定されたスペックや、戦闘の過程を紐解いていく。そうしている間にも数人の研究者達は走り、自身の席でキーボードを叩くなりしている。

「我々から離れていったフェイスが、誰よりも早くあれを実戦投入したか」

「投入するだけなら我々にも出来た。レリクト兵装は素案の域を出ていない」

 戦闘を記録した映像は、一巡したのだろう。新たに別角度から記録した物が再生されていた。

 そんな映像やデータを眺めながら、研究者達は口々に意見を言い合う。

「見た所、アームドレイターの設計自体はそう変わっていない。結局、レリクト汚染を避ける為には濾過器と循環器、そしてそれらを統括するガイドが必要になる。ガイドはともかく、他二つはサイズが大きい」

「うまく落とし込んでいるがね。アームドレイターなら、腕を切断するだけで使える。現に、あの一般人は手軽に力を手に入れた」

 映像の中には、《ブランク》レリクスとなる前の二人も映っている。

「ガイドはフェイスが連れて行ったリーンドールだ。因子が壊れているとはいえ、ああいう使い方をするなら充分な性能だな」

「素人と壊れた人形でこれなら、まあ確かに充分かも」

 思い付くままに話し合っていた研究者達だが、その中の一人が二回、手を叩いてみせた。研究者達は口を閉じ、手を叩いた男を見る。

「所詮、これがフェイスの限界です。彼等は貴重な実戦データをもたらしてはくれますが、期待値は低いと言わざるを得ない。我々は我々で動くべきです」

「つまり、ナンバー08(ゼロエイト)を実戦投入したいと?」

 男は沈黙を以て肯定を示す。そして、否定を表明する者は誰もいなかった。

08(ゼロエイト)は良い仕上がりですよ。アームドレイターへの適合処置も、ガイドの選定も済んでいます。アロガントを相手にした場合、ほぼ確実に撃破出来るでしょう。むしろ、私が欲しいのはその先です」

 凶悪と表現してもいい程の笑みを浮かべながら、男はそう言う。

 彼の考えを理解したのか、研究者の一人がふむと何度も頷く。

「レリクト兵装同士の実戦データか。使えそうだ」

 何人かの研究者が、手元にある端末でナンバー08(ゼロエイト)の情報を閲覧する。

 そこに映し出されたのは、左腕のない青年と暗い目をした少女だった。


 次回予告


 全てを理解した訳ではなく、むしろ分からないことの方が沢山あったが、それでも片羽唯は戦うことを選んだ。

 相も変わらず自分の意思かどうかは疑問だったが、納得はしたという感じが近い。

 街を襲う化け物、アロガントはまだ残っている。そんな中、唯とリンの前にとある青年と少女が現れる。

 左腕のない青年は、唯と同じように義手を……アームドレイターを所持していた。


「出番か。課題(タスク)を開始する」


 ブランクアームズ第三話

 -装甲と剛槍-

 お楽しみに!

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