表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/57

四重奏連続殺人事件

 聞込みの成果


 蕨駅周辺で根気のいる聞き込みが実施された。住民には若い単身者が多く、隣近所に全くと言っていいほど無関心だ。警察だと名乗ってドアをノックしても応じず、またインターフォン越しに尋ねても無関心な回答しか得られないことが大半だ。捜査員は無駄を承知で職務を実行していく。捜査とは壮大な無駄の集積だと心得ているから。

 三日目に被害者の身元が割れた。氏名は三村里香三十一歳。殺害現場から約五十メートル程先にあるマンション305号室の住人。茨城県牛久市出身のクラブ歌手。

 直ぐに室内の捜索が行われた。2DKスタイルの部屋としては、やや広めだろうか。全室にフローリングが施されている。

入口から近い部屋にはアップライト型のピアノが置かれている。居室として使用していたのだろうか、セットになったソファーとテーブルがあり、楽譜や音楽関係の雑誌が積み重なっていた。

クローゼットには営業用の派手なドレスが何着も収められている。奥にある四畳半ほどの部屋には、セミダブルベッドと大型の化粧台。プロ歌手に必要な舞台用のメイクアップからウイッグまで装備一式が揃っていた。

 キッチンはきれいに片付いている。新品同様の調理用具は、使用頻度が少なく、殆ど調理等はしていなかったのだろう。

 事件との関連を直接示すものは何も発見されなかった。

 捜査員の注意を惹いたのは、クローゼットの中に仕舞われていた男性用の下着、Tシャツ、チノパンツ、靴下を含む着替え一式。傍のクリアケースには、飲料水に関する市場調査資料とプレゼンテーション用に書かれた数十ページのレジュメ数冊があった。

製作者としての名刺も添えられている。男物の少なさかが同居者ではなく、交際相手と思われる。

 大林憲吾。43歳。DYマーケッティング会社社長。第一に事情を聴くべき相手が浮かんできた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ