旅の終わり
心まで冷えそうな雪が降るなか、一家に着いた鎌太郎たちは、、、。
「とうとう降り出してきたよ。」
昼だというのに真っ黒な雲が空を覆い、そこから白い雪が落ちてくる。ゆっくり舞うように落ちてくるけど、だんだんと辺りを白く染めていく。
寒さが増していく。
鎌太郎たちは身を小さくしながら先を急いでいた。
「夕方には着くね、とうとう旅も終わるよ。辰五郎親分が連れてきた人はどんな人なんだろうね。」と太郎が言った。
「それ実は俺も気にはなっていた。」と不動が言った。
「俺はどんな人でも構わない。辰五郎親分が見初めた人だ。それなりの人だろう。」鎌太郎がそう言った。その言葉には少しの感情もない。
冷たい雪が頬に当たって溶けていく。そのたびに頬が冷たく固くなって、表情も固くなる。
笑う事を忘れたかのように鎌太郎はその後、口を閉ざし、ただただ一家への道を一歩一歩歩いていた。
その様子を太郎と不動は黙って見守っていたのだった。
夕方、一家に着いた鎌太郎一行は、しばらくの間、屋敷の前に立っていた。もう辺りは真っ白で、雪はどんどん降り積もっていく。
「兄貴、入らねーのか?俺はどっちでもいいよ。兄貴に着いて行くよ?」
「そういう訳にはいかねーんだが、なかなか足が前にでていかねーんだ。もうちょっと待ってくれ。」
「いくらでも待ってやるよ。」不動が屋敷をジーッと見ながら呟くように言った。
と、屋敷から誰かが出てきた。
新吉ともう1人は女の人のようだった。2人は桶を持ち水を汲みに行っているようだった。この寒い中、男でも嫌がるような作業を、何か話をしながら楽しげに中へ入っていった。
辰五郎親分が見初めた人だけの事はある。
そう思った鎌太郎は腹を決め、「よし!一家へ帰って祝言だ!」と自分に言い聞かせるようにそう言うと、屋敷の戸をドンドンとたたいたのだった。
ドンドンと戸を叩く鎌太郎。その先にはどんな事が待ち受けるのか、、、。




