石松さん
石松さんの事をわかってきた鎌ちゃんは、、、
石松さんが来てからすぐ、空の色が昼なのに暗くなった。風も吹き始めた。
こりゃ嵐が来るな。
と、一のダイガシが言った。港と比べればこの美濃の地は山手で嵐が来てもあまり被害は無いに等しいが、やはり雨、風はやってくる。
米や野菜に被害がなきゃいいがなぁ。あった時は俺たちも何とかしてやらなくちゃいけねえ。
そうだなぁ、鎌太郎の兄弟。
そん時は追分の方に頼もうじゃねえか。
あぁ、そういやぁもうすぐ秋祭りだなぁ。今年は石松の親分さんにも来てもらおうか。出来たら毎年来てもらいたいなぁ。石松の親分さんは本当に裏のない正直なお人だ。
鎌太郎はここ3日ほど一緒に行動して石松さんのことを見ていた。楽しい時はとことん楽しんで、子供のように笑う。その笑顔はその場に居てる皆んなを楽しくさせる。
けれど、言うこともちゃんと言う。ダメな所があると、それもそこで思いきり怒っている。
馬鹿だ馬鹿だとよく聞くが、そんな事はなく、真面目な話はとことん、腹を据えて聞くし、答えもくれる。
会った人は嫌いにならないだろう。が、稼業は渡世人。恨みを買わずにいられれば良いが、義理と人情に縛られることもある。逆恨みされることもある。
鎌太郎だって、犬棒一家からこの地を奪ったのだ。恨みを買っても可笑しくはない。けれど前の親分が悪すぎたお陰でなんとか何も起こらずにいるが、それも運が良かったとしか言えない。いつもそう思っている。
もう少ししたら草鞋を履こうかと思っていたが、こりゃ嵐がきそうだなぁ。
そうでしょう?もう少しゆっくりして行ってくださいな。アッシが追分まで送らせていただきますよ。
いや、そんな訳にはいかねえよ。たっぷり楽しませてもらってるのに、それはいけねえ。
違うんですよ。追分で祭りがあってね、年に一度、兄弟分や民の方たちの顔を見に行くんですよ。石松の親分の顔を皆んなにも見てもらいてえ。
そうか?俺はそんなに良い男か?
いや、誰もそんな事は言ってないとは、皆んな口が避けても言えないのだった。しかし、石松と目が合った一家の連中は皆んなにこにこ笑ってウンウンと頷いた。
仕方ねえなぁ。じゃあその祭りに行こうじゃねえか。しかし、それが終わったら、俺は草鞋を履いて帰るよ。
寂しくなるけれど、次郎長の親分さんも石松さんの顔を見たいでしょうね。
だなぁ。早く顔を見せて安心させてやらねえと。俺はこんな性分だからいつも親分に怒られるんだよ。いつまでたっても子は子らしい。
そんなもんなんですよね。子分のことはいつも心配になりますよ。
鎌太郎と石松はだろう?だろうなぁと言うふうに黙って親分の顔を心に浮かべた。
祭りは皆んなと顔を合わす場にかわる。そして鎌太郎は、、、