石松の誕生日
一家には大勢の人がいた。
おじさん達も石松の友達かい?と元気そうな男の子が鎌太郎たちに話しかけてくる。
ここは次郎長一家だよなぁ、旅籠じゃないよなぁ。おじさん達って言ったなぁ。お兄さんじゃないんだなぁ。
ああ、友達だよ。ボウズも石松さんの友達かい?
そうだよ。友達。いつも鬼ごっことかかくれんぼやら相撲を取って遊んでた。花子は一緒にままごともしてたよな。な!花子。
うん。
へぇ、石松さんはそんなこともしていたのか。
あー、違うんですよ、親分さん。
と、1人の母親が男の子の話に付け加えるように話しだす。
私らは貧乏で働かなくちゃいけくて。夫と2人で働いてやっと生活できる始末でして、2人共家に居ないものだから子供は放りっぱなしで。石松さんはそんな子供たちのことを見ていてくれて、お腹すいた子がいるとお菓子を食べさせてくれたり。親のことを悪く言う子供がいるとお前達の為に頑張ってるんだぞ。と諭してくれてね。あんなに良い人、いないですよ。
そうだったんですか。
はい。お礼を言うといつも決まってこう言うんです、俺はバカだから勉強は教えてやれないけど、一緒に遊んでもらってるんだよ。お礼なんていいよ。痒くなるじゃねえか。って。あ、ちょっとすみません。
そう言うと母親は部屋の中を駆け回る自分の子供を捕まえにいった。
あいつらしいや。
と、近くに座っていた同職っぽい男がお猪口に入った酒をぐいっと飲み干して言った。
その男は鎌太郎たちにも自分の酒を飲めというように差し出してきた。
ありがとうございます。とお礼を言って、鎌太郎たちはその男と酒を飲むことになった。
鎌太郎たちと飲み出した男の正体は、、、。