鎌太郎、体力の衰えを感じる
旅に出た鎌太郎だったが、、、。
久しぶりに旅に出ると、普段の体力不足に気付く。坂道などは、すぐに息が上がってしまう始末。鎌太郎は自分の重くなった身体を恨む。しかし、体力が落ちた。
先を行く太郎と不動の軽快な様子に、自分が情け無くも思った。
それにしても、空気が澄んでいるのか、冷たい風が鼻に抜けてくる。
木々の緑が色を変え、まるで錦の着物を着ているようで、鎌太郎は何故かお蝶のことを思い浮かべた。
兄貴、美濃で今日は泊まっていきましょうね。もう少しです。頑張って。と太郎が鎌太郎を励ました。
鎌太郎は、苦笑いを浮かべ、
お前ら元気だなぁ。と言った。
兄弟が屋敷でドンと構えていてくれるから、俺らは自由に動けるんだ。少しくらいのことでしょげるなよ。兄弟なら江戸へ着く頃には俺ら以上に元気に歩いているさ。
そう言って不動が鎌太郎の背を押しにきた。
不動の言うとおりになると良いんだが。
きっとそうなるさ。
ほら、兄貴、美濃に入ったよ。もうすぐ屋敷だ。
ああ、そうだなぁ。こうしてここまで来ると、旅に出てきた気がしてきた。
鎌太郎はここで初めて笑顔を見せてそう言った。
兄貴、あんまり飲み過ぎんなよ。
籠でも呼んで乗ってくか。
兄弟、、、。
不動と太郎は少しだけ呆れたのだった。
籠は本当に呼ぶのだろうか。