歴史変えちまい隊、番外編 今井俊哉
元の時代に戻った俺を見て、寿さんはかなりびっくりしていた。
「何があった?どうしたんだその顔は?まず、座れ。病院に行った方がいいな。渡部に知らせてくる。ほら、クルマのキーだ。中に入って待ってろ。」
過去のものは、何であっても未来に持ち帰ることは出来ない。俺は、せっかく巻いてもらった包帯も、鼻に詰めてもらったガーゼも、薬も全て、過去に置いて来ざるおえなかった。
寿さんは俺を病院に連れて行った。
先生は言った。
「アゴ、キレイに入ってるねー。自分で入れたの?でも、かなり外れ易くなってるから、包帯で固めておくよ。夜ご飯は食べても大丈夫だけと、ゆっくり食べてね。出来るだけ口は大きく開けないように。あと、鼻だけど、ヒビが入ってるから洗顔の時とか気をつけて。あとは擦過傷だね。痛み止めと、軟膏出しておくから。若いからケンカもしちゃうだろうけど、ほどほどにね。」
俺はそのまま、寿さんの家に帰った。
「話せないだろうから、このノートに何があったのかを書いておいてくれ。俺はまだ仕事が残ってるから、片付けてくる。」
俺は渡されたノートを開き、女の人に俺の子どもを産んで育ててくれないかとお願いしていたら、カバンで殴られたこと。さらに、転んでしまったこと。そして運良く良い人に声をかけられて、一緒に病院へ行き、治療を受けたことを書いた。そして、またあの子に、優しいあの子に会いたいと書いた。あの子なら、俺の願いを聞いてくれる気がする。だから、また同じ時代に送って欲しい。俺は寿さんにお願いした。
その日の夜ご飯は、卵の入ったおかゆだった。