歴史変えちまい隊番外編、今井俊哉のこと
俺は眠った。
歴史変更施設で働き始めてからというもの、俺は、暇さえあれば寝続けた。
仕事をして眠り、飯を食って眠り、風呂に入って寝た。
俺は何処ででも寝たため、同僚で先輩の寿さんが、俺にベッドを買ってくれた。もちろん布団も付いていた。
「寿さん!マジですか?良いんすか?えー!」
「今井、お前は異能者だから、身体に負担が多いんだろう?だから、余計にしっかりとした場所で、ぐっすり寝る必要がある。それにな、お前、痩せ過ぎだ。このベッドは、職場用。しばらく俺の家に来い。もっとマシなもん食わせてやる。」
俺は寿さんの家に居候することになった。
寿さんは、一人暮らしで、家事もしっかりこなす人だった。それに、優しい。
「今井、お前はまだ若い。何かあったら遠慮なく俺を頼れ。いいな?」
寿さんのおかげで、俺の身体は徐々に健康を取り戻し、ぐっすり眠れるということが、どれほどありがたかったか。
「寿さーん!俺、今までの人生の中で一番幸せかもっすー!」
「まだ19年しか生きてないだろうが。まあ、幸せならそれに越したことは無いがな。」
俺は救われた。
組織に、そして寿さんに。
だから承諾したんだ。
「未来さんはああ言ったが…、決めるのはお前だ。いや、お前が決めるのは荷が重い。今井、組織が全てじゃない。分かってるな?」
「組織、俺たち歴史変えちまい隊が、俺の全てっすよ。まあ、大した事じゃ無いっす。寿さん。まあ、要望を言えば、会える距離ですね。時代が違い過ぎると、会えないじゃないすか。」
俺は、違う時代に子どもを作ることを承諾した。
人工的に歴史変更能力を有する子どもを作るらしい。
渡部さんはかなり怒った。
「何勝手なこと言ってんの?あんた、何様のつもり?子どもだってね、一人の人間よ?そして、あんたは育てることもしない。バカ言ってんじゃないよクソガキが!女一人で子どもを育てるなんて、大変な苦労なんだからね?大した事無いわけが無いから!この、無責任ヤロウ!未来さんだかも何様なの?こんなクソガキになんて事させようとしてんのよ!私が居たら!私がその場に居たら!ぶん投げてやったのに!クソが!」
稲葉さんはのんきだった。
「まあ、今井の能力はかなりのもんだからねー。子どもにも期待が持てるってことじゃない?まあ、承諾するんなら、歳は若い方が良いらしいし。より、能力の遺伝の可能性を高められる。それに、もし、遺伝しなくても、人工的な歴史変更能力は持って生まれてくるわけじゃん?組織にとってはありがたいよねー。」
稲葉さんは渡部さんにキレイにぶん投げられた。