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追放

「お主には、この城から出て行って貰う」


 俺は、リスティア王が最初何を言っているのか理解が出来なかった。


 この城から出る?そう言ったのか?


 頭の中でその言葉の意味を整理していると少し分かってきたことがある。


 俺は、クラスのみんな、それと王城の兵士達にスキル無しの無能と言われている。


 城の中では、それが広まっているのでリスティア王も知っていることだろう。


「・・・理由を聞いてもいいですか?」


 俺は、何故自分を追い出そうとしているのかを理解している。それでも魔王と戦うために呼ばれた勇者として本当にそうなのか聞いておきたかった。


「勇者でありながら能力値が弱く。それに肝心なスキルを持っていない。そんな無能を置いておける程この国に余裕などない。」


 俺は、自分が今どんな表情をしているのかが分からなかった。


 質問の答えは考えていた通りのことで、俺は何も喋る事が出来ずレオン団長に視線を移した。


 レオン団長ならこの事を止めてくれる筈だ。

 そんな期待をしていた。

 だけどレオン団長は、俺が視線を送った事に気づくと目線を逸らしながら口元を動かしていた。


 俺とレオン団長との距離は、少し離れていてその声は聞こえなかったが

「・・・すまない」

 そう言ったように感じた。


「こちらも勇者としてお主を召喚した身。なのである程度の賃金と道具を用意してやる」


 リスティア王が話出したので視線を戻した。


「他にも必要品は、こちらで用意をして置く。なので明日には、この城から退去してくれ。」


「分かりました・・・」

「話は以上だ。下がれ」


 俺は、落ち込んだ表情で王室から出て自分の部屋に戻った。



「明日にはこの城からでていかないといけないのかぁ・・・」


 部屋に戻ると少しの間ベッドにうずくまり出て行かないといけないことを何度も言葉にしていた。


「ここを出たらどこに行こう・・・」


 あれから1時間程が過ぎると落ち込んだ表情も消え、それよりもこの先の事について考える事にした。


「やっぱ異世界に居るんだから獣人やエルフにあってみたいな」


 俺は、前の世界では退屈だったのでラノベなどをよく読んでいた。

 だから獣人やエルフなどすごく見てみたいと思っていた。


「ここから一番近い大陸は、獣人大陸だったな」


 本で大陸の事について調べていたおかげでこの世界の地図は、なんとなく覚えでいる。


 そして俺は、城から出て行った後の行き先を獣人大陸にすることを決めた。



「よし、準備はこのくらいでいいだろう」


 俺は、行き先を決め一通りの準備を終えた。

 持って行くものといえば


 服、記録帳、、訓練用装備等だ。


 リスティア王のが用意してくれると言っていた道具は、先程城の兵士が俺の部屋を訪ね置いていった。

 兵士は、俺が追い出されることを聞いたのか哀れみの目を向けて部屋を退室して行った。


 道具は、全て大きめのバックパックの中に入っておりその中身を確認すると少しばかりの食料、袋の中に入った賃金、そして野営道具の3点が入っていた。


 袋の中に入っている金は、

 青銅貨が20枚

 銀貨が5枚

 金貨が1枚だった。


「これだけあれば十分だな」


 俺は、バックパックの中に自分で用意したものも入れて準備を終了した。


「もうそろそろ夜明けだな」


 俺は、準備をする前に一眠りしたので時間で言うと午前4時を過ぎた頃だった。


「準備もできた事だしそろそろ出発するか」


 俺は、荷物を背負いまだ暗い城の廊下を歩き門の前で立ち止まった。


「レオン団長・・・」


 門の前で立っていたのはレオン団長だった。


「・・・風見、本当にすまない」


 レオン団長は、俺に謝罪をして頭を下げてきた。


「俺があの時リスティア王をちゃんと説得できていればお前がこの城から追い出されることはなかった」


「レオン団長が謝ることではないですよ。それに元はスキル無しで無能扱いされているのが原因ですし・・・」


「それでも、本当にすまない」


 レオン団長は、最後に一言謝罪をしてきた。


「レオン団長。俺そろそろ行きます。短い間だったけどお世話になりました。」


 あれから少しの間話をし、お礼の言葉を言って門を出ようとした。


「ああ、またいつか会おう!」


 レオン団長は表情が少し戻ってきていつものように大きな声で俺を見送ってくれた。


 そして俺は、レオン団長の姿が見えなくなると走ってこの国から出て行った。



「あの無能勇者は、出て行ったな」

「あんな者を勇者と言うのも虫唾が走るが出て行ってくれたのは嬉しいな」


 2人の人物は、この城から出て行った風見蓮を見て心底嬉しがった。


 その2人の人物とは、リスティア王とルーファス参謀長だ。


「あんな無能を育て上げたとしても盾にすら出来まい。どうせこの城から出た後も野垂れ死ぬであろう」


 リスティア王は、ことごとくゲスな野郎だった。


「それもそうですな。今回あの者が出て行ってもこっちにはなんの損害もない。それほどまでに無能ということですな」


 2人は、風見蓮を無能としか扱っていないが、その風見蓮という男が後にこの戦争でもっとも大きな戦力になる存在だと言うことを知らなかった。

評価等よろしく^_^


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