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アリスと買い物

「本当になんでこうなるんだよ…」


風見蓮は、獣人大陸にある宿『獣人通りの木漏れ日亭』の1室でギルドカードを見ていた。


 〈ギルドカード〉

【名前】風見蓮 17歳

【ランク】 D

【種族】人間

【職業】冒険者

【レベル】20

【体力】3500

【攻撃力】3970

【防御力】4000

【魔力】3500

【素早さ】2000

【知力】150

【技能】成長・剣術・魔物感知・毒耐性・麻痺耐性・言語理解

【スキル】能力値強化(攻撃力増加・防御力増加・魔力増加)

【特殊スキル】�������


ギルドカードに書かれているステータスは、大幅に上昇していた。

そして、技能欄には【毒耐性】と【麻痺耐性】が新たに追加されていた。


「もしかして、スライムとの戦いで俺が毒と麻痺を食らったからか?」


俺は、昨日のスライムとの戦いで毒と麻痺をくらい、少し苦戦してしまった。

その時は、状態異常を回復させるポーションを持っていたので何とかなり、無事スライムどもを倒すことが出来た。


しかし、宿に帰って休み、朝になってステータスを確認してみればこの結果だ…。


「はぁ、ゴブリンどもを倒した後もそうだが、何でこんなに能力値が上がるんだ?」


俺は、ため息をついた。


自分のステータスが成長していくのはいいことなんだが、元はステータスも弱く、スキルが無い無能勇者として城の人間やクラスメイトにまで見下されてきた。


ついには、リスティア王に城から追放されてしまったというのに…


「はぁ、素直に喜びきれないな…」


何度目かのため息をついた。


「蓮?何で暗そうな顔してるの?」


ため息をついていると、部屋に入ってきたアリスが話しかけてきた。


「いや、何でもない」


俺は、あまりアリスを心配させないようにステータスのことについては後で考えることにした。


「そうなの?…ねえ、今日って予定ある」


俺が何でもないことを伝えると、アリスはそれ以上聞いてこなかった。


そして、アリスは今日の予定について聞いてきた。


「今日か?…特には無いな」


今は、スライムから取れた魔石を換金してお金に余裕もできたし、それほど大事な用も無かったので、俺はそのことをアリスに伝えた。


「じゃあ、今日は、私の買い物に付き合ってよ」


アリスは、用事が無いことを聞くと買い物について来てくれと言った。


「別に良いけど、何か欲しいのか?」

「うん、ちょっと服が欲しくてね」

「服か…あ!」


俺は、アリスが服を買いたいと言って思い出した。

アリスが着ている服は元々俺が貸した物だった。


初めてアリスと会った時に、アリスは奴隷商に追いかけられていて、着ているものといえば薄いボロ布一枚だった。


それでは可哀想なので、とりあえず俺が持ってきた服を渡して着させておいた。 (ちゃんと新品だからな)


「すまん、すっかり忘れていた」


俺は、服のことについてすっかり忘れていたので一応アリスに謝っておいた。


「やっぱり、男物だから嫌だよな…すまん」


あれから1週間程は、俺の服を使っていたので少し嫌だったかもしれない。なので、そのことも合わせて謝っておいた。


「大丈夫だよ、…むしろこっちの方が良かったし…」


謝られたアリスは、笑いながら大丈夫と言ってくれた。最後の方はあまり聞き取れなかったが、とりあえず早く準備をして街に行くことにした。


(はぁ〜、やっぱりケモミミはいいな)


俺は、街の中でも人通りが多い道をアリスと歩いていた。通りを歩いていると獣人大陸なのでたくさんの獣人を見かける。

前の世界では、暇な時間はラノベや漫画、ゲームなどをしていたので獣人やエルフに会ってみたいと何度も思っていた。


「蓮、着いたよ」


ケモミミ少女達を見ながら歩いているとアリスが立ち止まり着いたことを教えてくれた。


アリスが言ってきた服屋は、外観がとてもシンプルで見た目も綺麗だった。


「結構いろんな服があるんだな」


服屋に入ると男物から女物、冒険者用から生活用までのいろんな種類の服が置いてあった。


「ここは、いろんな服がたくさんあって選び放題だから、いつもここで買ってるんだよ」

「そうなのか」


アリスは俺にこの服屋について少し話してくれた。


「あれ?アリスじゃない」


すると、アリスを呼ぶ声が聞こえた。

声のした方向を見るとアリスより少し身長で真面目系な雰囲気の猫耳の女の子がいた。


「あ、ミーシャ」


どうやら知り合いのようで、アリスも名前を呼んでミーシャと呼んでる女の子の元に向かった。


「久しぶり、ミーシャ」

「久しぶり…って何で男物の服を着てるの?」

「えっと、それはね〜」


アリスは、少し恥ずかしそうではあったがミーシャに自分が家出をしたこと、その後に奴隷商人に捕まったこと、それを俺に助けられたことを全て話した。


それを聞いたミーシャはものすごく驚いた顔をしていた。


「ミーシャ、驚くのも分かるけど、そこまで驚かなくてもいいんじゃ」


(いや、無理があるだろう)

自分の友達?が家出して、その上、奴隷商に捕まったことなんか聞かされたら驚くだろう。


「今は、蓮のおかげで助かったし、夢だった旅にも出れて、すごく楽しいよ」


アリスは、ミーシャを落ち着かせるために全力の笑顔で今が楽しい事を伝えた。

(少し、こっちが照れるが…)


「はぁ〜、それなら良かったわ」


ミーシャもアリスの笑顔を見て、少しため息をつくと落ち着いてアリスの無事を喜んだ。


「風見さん…でいいですか?」

「いいけど?」

「それじゃあ、改めて風見さん、私はミーシャ・クラリスです。アリスのことを助けてくれてありがとうございます」


ミーシャは俺の前に来ると自己紹介と、アリスを助けたことにお礼を言ってきた。


「いや、いいよお礼なんて、俺が好きでやっただけだし…」

「それでも、友達を助けてくれたことについてお礼を言いたいので…」


そう言うとミーシャは、また俺にお礼を言った。


(やっぱり、見た目通り真面目系だな…)


「それで、アリスは服を買いに来たんだよね?」

「うん、そうだよ」


ミーシャは、俺にお礼を言い終わるとアリスに服のことについて聞いた。


「どんなのがいいの?」

「う〜ん、いつものような服も何着か欲しいけど、旅に出るから動きやすい服が多めに欲しいかな」


アリスは、ミーシャに動きやすい服が欲しいと言った。


「分かった、少し待ってて」

「うん」

「風見さんはどうしますか?」


ミーシャは、アリスの注文を聞き終えると俺にも聞いてきた。


(今日は、服を買うつもりじゃなかったんだけどなぁ…まぁいいか、服も必要になるしな)


せっかくなので俺も服を買うことにした。


「じゃあ、俺も選んでもらっていいか」

「はい、それじゃあどうぞ」


ミーシャは、笑顔で俺に注文を聞いてきた。


俺は、そこまで派手めな服は好きじゃないので、俺も動きやすい服でシンプルなデザインで頼むことにした。


ミーシャは、アリスと俺の注文を聞くと店の奥に歩いていった。


「お待たせ」


それから、10分程経ってミーシャは、手にたくさんの服を持って歩いてきた。


(この短時間でよくあれだけ選べたな…)

ミーシャが持ってきた服は、俺とアリスのを合わせて20枚くらいあった。


「ミーシャ、ありがとう。すごくいい感じだよ」


アリスは、いつの間に着替えたのかすでに服を着て確認していた。


「どういたしまして、…風見さん、服はどうですか」


ミーシャは、服がどうか聞いてきた。


ミーシャが選んだ服は、注文通りあまり派手ではないシンプルなデザインで所々にちょっとした装飾がされた服だった。


「うん、俺のもいい感じだ。ありがとうミーシャ」

「はい」


ミーシャは、笑顔で返事をした。


「全部でどれくらいだ?」


俺は、ミーシャが持ってきた服を全部買うことにして、代金がいくらか聞いた。


「全部で10000バルクよ」


(10000バルクといえば金貨1枚か…安くねえか)

俺は、少し戸惑った。

普通にこの量の服を買ったら1万円で買えるはずがない。

(計算間違いか?それとも、俺の聞き間違いか?)

俺が少し困っているとミーシャが笑いながら言ってきた。


「代金は、半額以上値引きしました。アリスを助けてくれたお礼です」

「本当にいいのか?」


俺がそう言ってもミーシャは笑顔で微笑みながら何も言わなかった。


「それじゃあ、お言葉に甘えて」

「はい、お買い上げありがとうございます」


俺は、ミーシャに金貨1枚を渡すと、アリスと一緒に店を出た。

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