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その3

まず、パソコンを使い始めたのは地理の整理であった。


何を血迷ったのか地図を要求しなかった俺は、歴史の事典から様々の情報を読み取り、データ上に地図を作製していった。


まず第一関門となったのは、歴史で分かる範囲はそこまで広くない、と言ったところであった。


最初の内、読み取れたのは、大陸は5つほどある、と言う事だ。ほど、と言うのは、含めていいのか悪いのか分からないものが一つあり、さらに仄めかされているだけで、実際にある、と明言されていない大陸のようなものが一つあるのだ。


それらを含めれば7つである。


人間、まぁ人型の姿を持つ生物が生息しているのは4つだけである。


一つ目、猿人類から進化したような、大体地球と同じような姿の人間の住む大陸である。他の大陸からは、猿大陸、悪意の大陸などと散々な言い分にされている。


まぁつい10年前程まで奴隷制が公式に認可されていた上に、戦争が絶えなかったという非常に物騒な大陸だ。剣と魔法のファンタジーの世界とか言っていたが、ライフルが登場している上に一部最新の国では砲塔付き戦車まで導入されているようだ。ミサイルはまだのようだが、時間の問題だろう。


ダンジョンはまぁ娯楽と認識されているようである。ダンジョンの人工生成の方法まで確立さており、職業にすらなっている国家もある。


そして、人間たちが崇めている神は様々だが、一番崇められている神は、ダーヴァンと言う神らしい。生産、開発などを司っており、この神は特例的に封印を免れ、人間と協力していく条約を交わしたことにより今でも普通に生活しているようだ。


半幽閉のような状態らしいが、まぁそこは触れないで置こう。


2つ目、まぁ正統派ファンタジーだろうか?科学よりも魔法が優先されている。最高の魔術師は時間を操ることが出来たらしい。まぁ魔力の使いすぎでポックリ逝ったらしいが。


科学が進んでいないおかげで銃などは自動式どころかマスケット銃すら作られていないようである。


その代わりに人間兵器が大量にいるらしい。理由としては、封印が、一つ目の大陸が鋼鉄製のコンテナに幽閉されているとすると段ボール梱包程度の封印しかされていないのだ。はっきり言ってがっばがばである。


神は力を使えないが、加護を与える事は出来るらしく、多数の宗教を設立し、互いの神を敵とした一神教を形成、加護をばらまいて人間兵器どうしが殴り合う事をしていたらしい。現在は収まったらしいが、それでも宗教的対立は耐えないようである。


ちなみにエルフとか獣人もいるらしい。


3つ目、まぁ獣人の大陸である。


力こそが正義、いい時代になったものだ……と言うレベルの世紀末っぷりらしい。歴史を見る限りでは、腕力と魔力こそが至上であり、科学などは一切必要なく、神も必要ないというなんともまぁ暴力的な思考をしているらしい。


因みにこの世界の獣人と言うのは血液の割合でどんな姿かが決まるらしい。


獣人の血が濃ければ顔まで獣よりになり、人間の血が濃ければけもみみ程度らしい。因みに地球型の人間の住む大陸だと前者の方が迫害され、獣人の住む大陸だと後者の方が迫害される傾向にあるそうだ。


4つ目、謎。謎である。


どんな生命体が住んでいるかなどは一切記載されていないが、人間型の知性を持つ生物がいる事だけは記載されている。


まぁ保留である。


5つ目、魔境?っぽいところである。


ドラゴンやら他の大陸で伝説扱いされてるモンスターが吐いて捨てる程存在しているらしい。

最近の大規模な戦闘はドラゴン数百頭がゴブリン数万匹との戦闘らしい。


因みにドラゴンがぎりぎり勝ったそうである。


理由はうっかりドラゴンのうち一頭がたまたまゴブリンの支配地に入ってしまった事だ。しかも不幸な事に力がかなり強いドラゴンで、ゴブリンは『こいつはヤベェ!マジだ!』と言う事になり、一斉に攻撃を開始、ドラゴンはみすみす同胞を殺させる訳にもいかず、精鋭数百頭が参戦、さらに火事場泥棒を狙った他の種族も参戦、混沌とした戦場になったようだ。


非常に不幸な事故である。


6つ目、天界。


天使とか、聖なる存在が住んでいるらしいが、ぶっちゃけ直接戦闘能力は高くはないらしい。魔境と一回ガチでやり合った事があるらしいが、ドラゴン数千頭が天界を制圧し、天界側は惨敗したらしい。


天界の強みは地上にいる信者である。


本体が弱くても従っている人間がある程度強力であれば問題ないのだ。天界自体空中に存在し、常に移動しているため余程の規格外でなければたどり着けない。さらに防衛機能も凄まじいらしい。魔境のドラゴンは流石である。


7つ目、謎の大陸の歴史でわずかに仄めかされたさらに謎の大陸。


はっきり言って何があるか分からない。

どうやら、『海上を常に移動していて』『海中にも存在し』『名状しがたい、冒涜的な恐怖をまき散らす生物が住んでいる』と書いてあったが、場所についても分からず、そもそも海中に存在している大陸なんぞどうやって見つければいいのやら。


まぁそんな感じだ。現状2つ目あたりがねらい目かなぁ?と思っているが、魔境も楽しそうである。俺はまず死なない、とこの世界の神よりもさらに上位の存在に保証されているから死ぬことはまずないだろうからぶっちゃけ魔境でも問題はないのだ。モンスターに一瞬でダンジョンが消し飛ばされる可能性が高い事を覗けば。


で、現状色々とパソコンに打ち込んで計算している最中なのだが、この惑星が地球と比べると非常に大きい事がもうほぼ確定付られているのだ。


各々の歴史事典を詳しく調べてみると、一つの大陸が最低でもユーラシア大陸程度の大きさはある、と言う事になっているのだ。つまり、ユーラシア大陸が最低5つ存在している、と言う事になる。さらに海中と空中に移動し続ける大陸が2つ存在しているという事になる。


しかもそれぞれはお互いに発見できていない場所もある。完全にこの星の事を把握しているのは現状神と俺程度ぐらいだろう。


さらに恐ろしいのはこの星の大きさに対し重力が地球と同じ程度だという事だ。通常ならばもっと強い方が正常なのだが、この星の重力は地球と変わっていない。第一、第二大陸の重要拠点から鉄のようなものを採掘しているという歴史が存在している以上、おそらく材料物質は地球とほぼ同等だろう。地球が単純に巨大化した、と思えばいいのだろうか?しかしそれにしては不可解な点がいくつもある。


「あぁ~面倒だわ…」


考える事はそこまで好きではない。出来るだけ作業は簡単に、素早くこなしたいのだ。まだダンジョンのダの字も出て来ていないのに、こんなそこまで興味の無い世界の歴史なんぞから地図を作る作業など俺は求めていないのである。


「まぁ、やるしかないか」


自分でやる、と言ったからには責任を持たねばならない。それで損をするのがたとえ自分だけだったとしても。少しでも甘えてしまえばそれからダラダラと仕事にまで溢れ出る。


例えどんなに面倒でも、やりたくなくても、『やる』と決めたからにはやり通すのが俺のポリシーだ。


歴史の事典を積み重ね、何百枚目か分からない付箋を貼り付け、パソコンにそれを撃ち込み、整理する作業を進める。


歴史の事典は親切ではなく、時系列順に説明するのではなく、おそらく同じ大陸で、似たような話を集めているだけらしい。


地図が完成したら次は、これを並べて年表にする作業か。


そんな事を考えながらカタカタとキーボードを打つ音だけが寂しい石室に響いていた。

眠い

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