1話 女神と出会ってみた
これから不定期投稿していきますceuzawaです。
何かと至らぬ点があるかもしれませんがよろしくお願いします。
「ったく...動作が遅すぎる!作業効率が悪くてやってらんねーよ!」
俺の名前は斎藤勇也。24歳独身。現在愚痴を溢しながら3台のノートパソコンを使い仕事をしている。3台というのは3つの全く違う内容の仕事を同時進行しているということだ。パソコンが読み込みを行っている最中に他のパソコンで他の仕事をするという、人間離れした行動をとってなお遅いと言っている状態である。ふと机上にある時計に目をやる。
「もう11時...か...」
時刻は既に夜の11時を迎えていた。それに気づいた勇也は誰もいないオフィスを眺めた後に帰る準備をし、
「帰るか...ん?」
部下の机においてある写真に目がいった。それは本人が小学生だったときの遠足の時の写真だった。そこに自分の姿もあった。
「懐かしいなぁ...」
一人残されたオフィスの中で自らの過去を思い返す。
勇也は幼少の頃から人間離れしすぎていたせいで周囲から化け物扱いされていた。本人も自覚があってのことだ。なにせ生後10日で言葉を発し、1才の誕生日を迎える頃には大学生レベルの学力があったからだ。ついでに運が良すぎていた。その後6才になる頃には全知全能だとか神の化身だとか呼ばれるようになっていた。つまりあれだ。あまり思い出したくない過去だ。
そして"あの"事件が起きたのは10歳の時。その事件以来、勇也は異端な能力(PC3台同時操作は対象外)を隠し平々凡々に生きていくことを誓った。
「あれは嫌な思い出だ...」
その後勇也は帰路についた。
「うぅ...寒いな」
1月なので当然のことだが、ここまで地面が凍てつき気温が下がったのは多分初めてだ。
「...氷点下13.7℃...これはおかしい」
勇也は異端な能力(数えられないぐらいある)のひとつとして気温 湿度 風向 風力 気圧などを正確に当てることが出きる。だからなおさらこの気温は以上だと感じた。
「ったく...」
イラついて走り出したその瞬間...凍てついた地面で滑った。
徐々に近づいてくる地面を眺めながら
「俺の運に掛かれば滑ることなんて絶対にあり得ない。だとすると人為的なものか滑ると幸運なのか...恐らく前者だろうな...」
と呑気なことを考えているうちに、地面に頭から落ちた。その衝撃で斎藤勇也は失神してしまった...
ふと気づくと辺り一面漆黒に覆われていた。まるで五感から隔離されたように、自分の精神のみが虚空を漂っているような感覚に陥っていた。
「俺...死んだのか...?俺の運は絶対なはずなのに...」
「あまり自分を過信しすぎるのもよくないよ~?」
何処からか女性の声が聞こえてきた。聴覚が健在だと言うことがわかった。
「お前は誰だ!」
ついつい怒鳴り口調で聞いてしまった。
「そんなに怒るなって...では自己紹介といきましょうか。私はサキ。一応ここ冥界の入り口の案内人みたいな立ち位置の女神で~す。よろしくね~」
ここは冥界の入り口で、今ここにいるのは女神だと言う。にわかには信じがたいが...どうせ死ぬならこの自称女神を問い詰めてから逝こうかな...
「へぇ~女神ですか...」
「あら、あまり驚かないようね。まぁその方がこちらとしても楽━━━」
「まぁとりあえずあなたの証言を信じましょうか。ではまずこの状況について説明してもらいましょうか...」
「えっちょっ人の話は最後まで━━━」
「あなたは女神。人じゃない。OK?」
「...このドSめ...」
逝く前に少しここで楽しんでいこうかな...
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