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学園に入学します

髪は一筋も零れないようにまとめ上げ、生成り色のローブを頭からすっぽりと被る。

肌の色はまだいいが、まつげと眉毛の色がある為、ローブは必要時以外は外さない。

学園に通うにあたって「私から」提示した条件である。


「そんな事しなくても、この国はそこまで黒への差別はないのに」

「そうですね、だからこそ学園に黒も通うことができるのですし」


黒というのは闇属性を持つ人間のことだ。

他国ではそれこそ黒を魔獣と同一して差別する習慣すらある。

私が属性無しだとはいえ、皇子が変わり者扱いされるのはよろしくない。相手の魔力や属性について知覚するには相当な技量が必要なわけだし。普通は色彩で判断する。黒髪黒目の私はまごうことなく闇属性として認識されるだろう。

この国では黒に対する差別はそこまで酷くは無いだけであってゼロでは無いし、光属性は殊更闇属性を嫌う。

それに、ただでさえ強すぎる魔力による威圧のせいで皇子と他人との距離があるというのにこれ以上周りから誤解される必要はない。

私は魔力がないから何も感じないけれど。


「別クラスとは、残念だ」

「当たり前でしょう、私は魔力が無いんですから。皇子と同じ魔導師科に入れるわけがありません。むしろ騎士科に入れただけでも、皇族の権力のおかげですし。」

「そりゃあ、ルリが通わないなら私も通わないと言ったからな!」

「どうしてそうなった」


皇子はどうにも私に対しての執着が尋常ではない。

本来の私の年齢を考えれば、学園に通うような年齢ではないのだが。

日本人特有の童顔で、私はこの国の人たちから見ると年齢不詳らしい、ということと、どうせローブを被って姿かたちを隠してしまうならば問題ない、という皇子の一言で入学できてしまった。


学園に向かう馬車の中でご機嫌な皇子の横顔を睨みつけるが、こうかはいまひとつだ。

騎士科の校舎の方が出入り口に近い為、私の方が先に馬車を降りる。

そもそも、騎士科は早朝鍛錬・放課後鍛錬がほとんど強制で魔術師科よりも随分早く登校しなければならない。今日は初日で、入学式と、説明のみでそれほど登校時間に差がなかったため、一緒の馬車で登校したが。

皇子をそれに付き合わせるのはすごく心苦しく、やはり今後は断ろう。

そう思い、後ろを振り返り、皇子に話をしようとすると、腕を引かれた。


ん?

皇子顔近いぞ?

これって、ローブの外側から見たら明らかにちゅーしてるようにしか見えないよね?


「じゃあ、帰りは待ってるからね」


ローブの中で額がくっついている。


皇子が去って行ったあとも周囲はざわついて、私は動けなかった。


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