1. 恵子と晃
行き交う人々を横目に大好きなチャイラテを片手にカフェで愛用のPCをお供に休日を過ごす
私篠崎 恵子 27歳 社会人3年目。
私、篠崎恵子は毎日同じような日々を過ごしながら思うことがある。
自分はこのままでいいのだろうか。一度限りしかない人生を
チャイラテを片手に仕事に使う資料を作成して休日を過ごし、また明日から仕事に勤しもうとしている
自分自身に問いかける。
「何が楽しくて休みの日まで仕事をしなければならないのだろう。」
本当にこれでいいのだろうか。
最近巷では自己啓発といって自身と高めて企業をする輩が増えてきているのに
今こうして過ごしている間も『夢』とやらに向かって自己啓発とやらをして前進している人を
見ていると『羨ましい』と思う反面、『くだらない』と思ってしまう私。
自分自身のことは棚に上げて、こんなことを思ってしまう醜い自分に笑ってしまう。
だけど、それでもそんな風に輝いている人々を見ていると私自身も
それに近づきたいと思っているのだから、どうしようもない。
何になりたいのかも分からないのに
もしかしたら次の日何かいつもと違う変化が起きるかもしれない。
その『変化』に期待してしまう私はもう世に言われている中二病と言われる人々と
私は変わらない、いやそれ以上に末期なのかもしれない。
「本当なにを考えてるんだろう・・・馬鹿々々しい。」
別に今の仕事が嫌いとかそういうわけではないのに。
何を考えているんだろう。
別にこのままで良いではないか仕事が嫌いじゃないのであれば
続けたその先に何か自分の目指しているもの、求めているものが待っているかもしれない。
「はぁ、やっと資料まとめ終わった!この開放感!」
同じ姿勢でずっとPCと向き合っていたせいか立ちあがった時にに思い切り背骨が
バキバキと鳴る音が耳に入る。
隣に座っている世に言われるイケメンと言われる部類と男性が女の子守ってあげたくなるの
代名詞と言われそうな胸元まであるウェーブのかかった茶髪の小柄な女性を横目に
「微笑ましい気持ち反面、リア充くたばれ。」なんて彼氏いない歴3年の私は醜い気持ちをしまい込む。
先ほどまで沢山入っていたチャイラテを一気飲みして、テーブルに置かれていた手にとり
お会計を済ませる。
「さて、資料まとめ終わったから、家でのんびりと映画鑑賞でもしようかな」
「そこのお姉さん!忘れ物してますよ!」
お会計を済ませてカフェの出口を出た直後背後から声をかけられて後ろを振り返ってみると
黒いvネックのTシャツに、細身のジーンズを履きこなし、今現代で良く好まれる部類の
綺麗な顔立ちで女優顔負けの天使の輪を持つ黒髪の好青年が私の携帯を持ち
少し小走りで駆け寄ってきた。
よく見てみたら先ほどの隣のテーブルにいたカップルのイケメンのほうであった。
「あ、それ私の携帯!!すいません。有り難うございます。」
「いえいえ、全然大丈夫ですよ。困ったときはお互い様ですし、偶然隣のテーブルに
座っていて気が付いたんでもしかしたらって思って」
ハニカミながら私の携帯を渡してくれる青年は普通に笑顔を浮かべるだけでもこんなにも
威力が高いとはこれを受けたら女性はころりと落ちてしまうだろう。
彼の笑顔を見ると神は人に対してもっと平等にするべきなのではないのかと
再三問いただしたいところである。
笑顔を浮かべた青年はいきなり何かを思い出したのか慌てた表情を浮かべて
礼儀正しくお辞儀をする。
「やっば!すいません。彼女に何も言わずに席立っちゃったんで戻りますね!」
「いえいえ、こうやって携帯が手元に戻っただけで本当に助かりました。
逆になんだかごめんなさいね」
「全然問題ないですよ。じゃあ今度から忘れないように気を付けてくださいねお姉さん」
手を振りながら先ほどの可愛らしい小柄な彼女の元まで歩いて戻っていく青年を背中を見て
微笑ましい気持ちになりながら何もなかった休日に彩りが加わった気がした。
「イケメンでも好青年ってかなりの高ポイントよね。日々の潤いに飢えている
私には眼福眼福」
顔が整っていて尚かつ優しい青年と少しでも話をするだけでも気分が高揚していくのが
自分自身でも分かる。
いつも灰色に見えていた帰り道が虹色に見える現象をなんて名づけよう。なんて考えている
この時の私は思いもしなかった。
先ほどの青年に振り回される人生が待っているという事に。
自分がどのようにしたらいいのかと人生に対して悩み苦悩する
ヒロインを描いてみたいという気持ちだけでこの作品を
書こうとおもっています。
もう作者の欲望だけをつづっているだけの小説になります。