婚約破棄
「君の行動は目に余る。国の上に立つ者に君の様なのは要らない。婚約を破棄させて頂くよう現国王に進言させてもらうよ」
私に鋭い視線を向けながら、婚約者……王子は言う。
「何か言う事はあるか? 君が犯した罪が軽くなる事は無いが、最期の言葉くらいは聞いてやろう」
今、私は凄く困惑している。何故この様な展開になったのだろう。どこで選択肢を間違えたのだろう。その事で頭がいっぱいになりながらも、王子に問いかける。
「私が、どの様な罪を犯したのでしょうか? 心当たりがありませんので教えてくれませんか?」
「白々しい、君がレーシア嬢を虐めていた事は証拠が挙がっている。更に俺に好意を向ける一部の者を過剰な程、虐めていたという証拠も。今回の捜査には俺も加わっている。まさか君が……と疑いつつも調べ上げた結果がコレとは、残念だ」
やはり、あの時に目撃者が居たのは間違いなかった様ね。私の探知に一瞬だけ引っかかったから勘違いかしらと思ったのだけど……。思えば、あの時から私に対する王子の様子は少しだけおかしかった。あの時に勘違いと思わずに行動していれば……いえ、どっちみち軽い興奮状態だったから無理ね。まあ、それも既に終わった話。
「そこまで調べ上げたのね。流石、私の婚約者、と言った所かしら。ええ貴方が言った通り私は彼女、レーシア嬢を虐めたわ」
「そうか、罪を認めるのか…………確かに俺は君を調べた。でもそれは君を疑いつつも信じていたから、君を愛していたからなんだ。レーシア嬢には確かに惹かれる所があって、君にしか見せた事しか無い表情を見せたかもしれない。それが君の中で嫉妬に変わり彼女を虐める動機に繋がった事は心苦しく思う。
だけど一番好きなのは君なんだ!!
君は学園に入ってから俺に愚痴を言ってくれなくなった。俺達が調べ上げた君の他の令嬢に対する虐めも、その頃から始まっていた。君が俺を頼ってくれなくなって寂しかったのかもしれない。それをレーシア嬢が少しだけ埋めてくれた。だけど全ては埋まらない。全てを埋まらせる事が出来るのは君だけなんだ!
…………君が素直になるまで、いくらでも待つ。暫く、頭を冷やして罪を償うがいい」
私が罪を認めた瞬間から王子は泣きそうな顔で私への気持ちを語ってくれた。それを私は真実を探るように王子の目を見つめながら聞き入れる。そうして私は……頭を下げた。
その後に後ろにいた王子が呼んだと思われし警備員と共に学園を後にした。
色々と設定が緩いのは自覚してます。お目汚し、すみませんでしたorz