憶い出
掲載日:2015/01/31
その日私は光を見た。
代わり映えのしない人生だった。毎日同じことを繰り返していた。食べて、働いて、寝て、起きて。どの日に何が起きても困らなかった。毎日同じだったから。
替えの効く人生だと思った。
私がいなくなっても、明日は同じように来るんだと思った。
これを嘆いたことは無かった。
だってそれは当たり前のことだから。
でも、その日、私は光を見た。
私の人生に価値をつけるとしたら、その光を見たことと、光を見て感じた感情を今でも忘れていないことだろう。
私が何かをしたわけじゃない。人によって見せてもらえた光だ。私一人では決して見ることのできない、考えることすら無かったものだ。
多分、明日も全く代わり映えのしない人生だろう。
何が面白くて生きているのか分からない人生だろう。
でも私は、あの日見た光を忘れたくなかった。
それを死ぬまで抱えていたいと思えたから、その日が来るまで生きようと思った。
全く意図しなかった、全く予想もしなかった、偶然与えられた一度きりの光。
それだけで生きてみようと思ったから、毎日笑って生きている人は、私が見たような光を見続けているのか、もう一度また見たいのかもしれない。
私もまた、あの光を見ることが出来るだろうか。




