ガールズトーク ~ブルマ編
エロを期待された方、すいません。エロ要素ゼロです。
「聞いた話によると」
と、立石望が口を開いた。
「世間では、ガールズトークってなものが持て囃されているらしいじゃない」
それに長谷川沙世がこう返す。
「持て囃されているかどうかは分からないけど、まぁ、よく聞くわね。でも、それって、要は女の子同士の会話でしょう?」
「売れるかしら?」と、立石はその後で言った。
「売れないわよ」
沙世がツッコミを入れる。
「なんで、単なる“女の子同士の会話”が売れるのよ…」
「金が欲しいのよねー」
沙世のツッコミに応えたのかどうかは不明だが、立石はそう言った。そこに卜部サチが口を挟む。
「それはなに? ブルセラショップみたいなもんで? エロトーク?」
立石はそれにこう返す。
「違うわよ! 黒いのよ、発想が。あんたは」
すると、文句を言うように卜部はこう尋ねた。
「じゃ、どんな話をするのよ?」
「んー」と声を発した後で、立石はこう答える。
「原発問題とか」
「どこがガールズトークよ」
と、それに沙世がツッコミを入れる。抗議をするように、立石はこう返した。
「それは偏見ってもんでしょーが! 女の子達だってそーいうのを話してるって。そういう偏見を打破する意味も込めて、原発問題を話すわよ。久谷、何か話を振る!」
そこで今まで黙っていた久谷かえでが口を開いた。
「そんな話題じゃ、お金を払う男性はいないと思いますよ?」
「どんな話題でも、まず払わないって」と、それに沙世がツッコミを。
「原発っていったら、あれよね? 原発停止の影響で、火力発電所の燃料費がかかって、東電の電気代上がるとか」
その後で卜部がそれに続ける。それに立石がこう応えた。
「あんた、ピュアね。そんな言い訳を信じるなんて。だったら、どうして東電だけで電気代が上がるのよ? ほぼ間違いなく、原発事故絡みの賠償金とかでしょうよ、原因」
久谷がそれに続けた。
「因みに、原発は停止中でもかなりのコストがかかるそうです。これも、絶対に値上げの一因になっていますね。何故か、発表はされませんが」
久谷が言い終えると、立石が言った。
「まぁ、東電も国の支援が入りまくるみたいだし、これで電気代が上がれば世間の反発も招くだろうから、もしかしたら、送電網開放の話なんかも進むのじゃない? 企業年金支給額も減らしたりとか。JALみたいに。政治家も人気取りしたいだろうしさー」
と、そこまで自分で言い終えて、立石はこう軽く叫んだ。
「ああ、駄目。こんなトークじゃ、金にならーん!」
「自分で話題を振っておいて…… てか、どちらにしろお金にはならないから!」
と、沙世がツッコミを入れた。その後で立石は言う。
「こうなったら、あれね、本気でブルセラにでも行こうかしら?」
「やめなって」
と、沙世。その後で卜部が言った。
「ま、あたし達はブルマなんて持ってないけどね。ブルマは滅びてるじゃない。てか、あれよね。ブルマを開発した人って絶対に変態よね。ほとんど、下着じゃない。あのデザイン。なんで、あんなのを女の子が履かないといけないのか。性差別よ」
久谷がそれに応える。
「ブルマを発案した人は、アメリア・ジェンクス・ブルーマーって女性だというのが有力みたいですよ。因みに、女権拡大運動の流れの一つとして現れたもので、それまでの拘束的な女性衣装に対する反発的な意味が込められているのだとか。元来は、だから性差別的なものじゃないはずです」
「なんで、んな事を知ってるのよ、あなたは」と、それに卜部がツッコミをいれた。その後で沙世がこう言う。
「ああ、そういえば、昔のブルマってなんかダボッとしてて、セクシーって感じじゃなかったみたいだものね。ちょうちんブルマっていうのかな?」
立石がそれに続ける。
「ああ、なるほど。それを聞くと、下着みたいなブルマに進化したってのも、なんとなく納得がいくわ。ダサイし… ちょうちん」
久谷がそれに続ける。
「そして、デザイン的に洗練されセクシーになると性差別的になって、淘汰されてしまう…… と。
性の平等性の為に生まれたものが、時代の流れと共に性差別的なものになるなんて、なんだか皮肉ですね」
立石は頷く。
「そうね。これは、社会が性を扱う事の難しさを象徴しているのかもしれない…」
が、そこまで言い終えて、こう叫んだ。
「だぁー! だから、こんなトークじゃ金にならーん!」
「だから、はじめっから金にはならないって」と、沙世がツッコミを。
卜部が言った。
「バイトしなさいよ」