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前世の記憶?厨二ノート?無駄に派手な異世界冒険譚!  作者:
【第1章】覚醒・旅立ちの時

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【5話】主張が強い黒歴史

冒険者たちが村を発って三日。


村は一応、平和だった。

一応、というのがポイントだ。


「森に入るなよー」

「入るなって言われると行きたくなるよな」

「命が惜しけりゃやめとけ」


そんな会話が、やけに増えただけである。


俺とリュカは、今日も森の手前で立ち止まっていた。


「奥には行かない」

「分かってる」

毎回確認するのは、もはや儀式だ。


「……それで、今日はどうするの?」

「普通に薬草採り」

「“普通”の基準が最近怪しいんだけど」


ごもっともだった。


森は、妙に静かだった。

静かすぎて、逆に落ち着かない。

虫も鳥も、仕事を放棄している。


「歓迎されてないわね」

「俺たち?」


「多分、あんた」


即答だった。


「俺限定?」

「だって私は何もしてないもの」


俺は言い返せなかった。



薬草は、やたら見つかった。

「多くない?」

「多い」


「質もいい」

「うん」


「……怪しくない?」

「怪しい」


四拍子そろってアウトである。


俺がしゃがんで葉に触れた瞬間、胸がじんわり熱くなった。

「あ、これ」

「なに?」

「ノートが……」

言いかけて、止める。

どう説明しろというのか。

離れた場所にあるノートがドヤ顔で反応してくる、なんて。


家に帰って、即ノートを開く。

白紙だった二ページ目。

――増えている。


『条件:恐怖と強い意思』


「……条件?」

思わず声に出す。


「武器作るのに条件付き?」

「ガチャか」


文字が、ぴくっと滲んだ。


「反応するな」


さらに下に、小さく追記される。


『※ビビりすぎ不可』


「注文多いな!!」


何も書いてないはずなのに、妙な圧だけは感じる。


「怖がれ。でもビビるな」

「無理難題にもほどがあるだろ」


瞬きをすると、文字は消えた。

だが、消え際がやけに満足そうだったのが腹立つ。



窓から、コツコツと音。


「開けるわよ」

「どうぞ……って勝手に開けるな」


リュカだった。


「顔、疲れてる」

「ノートに煽られた」

「何それ」


俺は簡単に説明する。


「条件付きでノートのページが増えるみたい」

「しかも、指図してくる」


リュカは一拍置いて言った。


「……それ、疲れそうね」

「うん……」


「武器が喋らないだけ、まだマシね」

「それ、一番来てほしくない未来だ」


--------------------------------------------------------------------

 同じ頃、街道。


「なあ、ヴァルドさん」

「なんだ」


「今回の報告、“森がキレてる”でいい?」

「却下だ」


「じゃあ“何かが調子に乗ってる”」

「真面目に書け」


エリオは笑う。


「でもさ」

「森の静けさ、変だったよな」


「ああ」

「新人がイキって失敗する前兆の匂いだった」


「誰目線だ」


二人は歩きながら、屋台を見つけた。


「腹減った」

「食ってから考えろ」


「世界の危機より飯優先」

「それが冒険者だ」


--------------------------------------------------------------------


夜、俺は布団で天井を見ていた。

(……次は、何が出るんだ)


机の上で、ノートが――

バサッ。


「!?」


勝手に閉じた。


「いや、今のは怖い!」


少し間を置いて、表紙の端に文字。

『※次はもう少し空気を読む』


「読むなら最初から読め!!」


落ちこぼれは、まだ名乗らない。

だが黒歴史は、完全に調子に乗り始めていた。

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