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前世の記憶?厨二ノート?無駄に派手な異世界冒険譚!  作者:
【第4章】やりたかったこと

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【43話】来訪者

――完全に、製造が追いついていなかった。


開店から数日。

拭き布は、作っても作っても棚から消えていく。


「これは……想定以上ですね」

店の事務室で、セラが言った。


「在庫が追いつきません。このままでは、トウマ様の負担が大きすぎます」


「だよな」

俺は苦笑しつつ、作業台に並んだ布を見下ろす。


正直、嬉しい悲鳴ではある。

だが、俺一人で抱える量じゃない。


「だから、店の方は私が管理します」

セラは静かに続けた。


「従業員を数名雇い、販売と簡単な説明を任せましょう。トウマ様は、製造に集中なさってください」


「……任せていいのか?」


「はい。そのために、私がおりますので」

即答だった。


こうして、店はセラの監督のもと、従業員数名を雇って販売をすることになった。

従業員は真面目そうな人間を数人。

接客も、金の管理も、問題ない。


俺は、完全に裏方へ回る。

作業部屋には、リュカもいた。


「……ここ、手順が少し違う」


「この順番?」


「そう。闇属性を流すのは最後」


リュカは真剣な顔で、布を手に取る。

呑み込みが早い。

魔力制御が上手い分、品質も安定している。


「これなら、二人分で回せるな」


「ギリギリだけど」

淡々と言うが、どこか楽しそうにも見えた。


並んで作業する時間は、不思議と落ち着く。

修行とも、戦闘とも違う感覚。


――その時。


拠点の扉を叩く音がした。


「……客?」

リュカが顔を上げる。


「誰だろう?」


嫌な予感は、なかった。

ただ――妙な胸騒ぎだけ。


俺が扉を開けると。

そこに立っていたのは、筋骨隆々の男だった。


背が高い。

肩幅が異様に広い。

全身から、鍛え上げられた圧が伝わってくる。


「……」


一瞬、言葉が出なかった。

見覚えがある。

いや――思い出したくないタイプの既視感。


男は、俺を見下ろし、次にリュカを一瞥し――

ゆっくりと、頭を下げた。

「ここが、あなたの拠点ですか」

低く、落ち着いた声。


その仕草、その雰囲気。

――セラと、同じだ。


前世で、俺が書いた

「忠誠心が高く、前線を切り開く豪腕の戦士」

その設定に、嫌になるほど似ている。


(……まさか)


喉が、ひくりと鳴った。


男は続ける。

「あなたに、お会いしたかった」

名乗りもせず、用件だけを告げる。


この世界の人間にしては、不自然なくらい迷いがない。


俺は、内心で確信していた。

(またかよ……)


黒歴史ノート。

封印したはずの、前世の設定。

セラだけじゃ、終わらなかったらしい。


背後で、リュカが小さく囁く。

「……知り合い?」


「……まあ、そんなとこ」

俺は、深く息を吸った。

「……話を聞こう。立ち話もなんだ」


男は、わずかに口元を緩めた。

「感謝します」


その笑みを見て、確信が固まる。

――これは、ただの客じゃない。


また一人。

俺の黒歴史が、現実に歩いてきた。

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