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前世の記憶?厨二ノート?無駄に派手な異世界冒険譚!  作者:
【第4章】やりたかったこと

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【42話】店が動き出す

翌朝。

店の扉を開けると、ひんやりとした空気が流れ込んできた。

大通りから一本外れた場所。人通りは多くない。


「……オープン、か」


特別なことは何もしない。

看板を出して、扉を開けただけだ。


最初に入ってきたのは、通りがかりの男だった。


「布……? 掃除用か?」


「はい」

拭き布を手に取り、半信半疑で指を滑らせている。


「……丈夫だな」


「汚れ落ちもいいです」


簡単な説明だけで、一枚売れた。


次は、武器屋帰りの冒険者。

次は、宿の従業員。


多くはない。

けれど、少なくもない。


昼過ぎには、棚の一角が空き始めていた。


「……思ったより、出てるな」


リュカが淡々と確認する。

「うん。もっと作っても良かったかも」


セラは、客への対応を丁寧に続けていた。

「ありがとうございます。こちらは、洗って繰り返しご使用いただけます」


夕方。

扉を閉めたあと、売上を数える。


「……悪くない」


いや、正直に言えば――かなりいい。


派手さはない。

でも、ちゃんと必要とされている。

その日は、それだけで十分だった。


翌日。

開店準備をしていると、外がやけに騒がしい。


「……?」


扉の向こうに、人影。

しかも、一人や二人じゃない。

そっと扉を開けると、数人の女性がこちらを見た。


「ここよね?」


「昨日話に聞いた店」


「汚れがすごく落ちる布があるって」


開店前だというのに、入り口の前で待っている。


「すみません、まだ準備中で……」


「ええ、分かってるわ」

先頭にいた女性が、にこりと笑う。


「でも、開いたらすぐ入りたいから」

背後で、他の女性たちが頷く。


「鍋の焦げが落ちたって聞いたの」


「布一枚で、よ?」


「洗えば何回か使えるって」


俺は思わず、リュカを見る。

「口コミ、早いな」


「主婦の口コミはすごいね。生活用品は特に」

リュカも驚いた顔でつぶやく。


セラが、穏やかに微笑んだ。

「必要な方には、すぐ伝わります」


開店の時間。

扉を開けた瞬間、待っていた主婦たちが一斉に入ってくる。

店内が、一気に賑やかになった。


――静かに始めたはずの店は、気づけば、確かに“動き始めて”いた。

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