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前世の記憶?厨二ノート?無駄に派手な異世界冒険譚!  作者:
【第1章】覚醒・旅立ちの時

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【3話】噂はもう止まらない

森の被害の噂は、思った以上に早く村中に広まった。


「森がえらいことになってるらしいぞ」

「奥の方、木が根こそぎだ」

「Cランク級のモンスターが出たんだってさ」


朝の市場で、そんな声が飛び交っている。

どれも、俺には聞き覚えがありすぎた。


俺は薬草の籠を抱え、なるべく目立たないように端を歩く。


――俺のせいだ。


あの黒い一撃。

派手すぎるほど派手だった破壊の痕跡が、隠せるはずもない。


「爪痕の深さ、踏み荒らし方……そこらの魔物の仕業じゃねぇ」

「Cランク以上となると、村の自警団じゃ歯が立たねぇな」


猟師の一人が、断定するように言った。


Cランク。


その言葉を聞くだけで、喉がひくりと鳴る。


「モンスターのランクはE、D、C……その上にB、A、Sがある」

「少なくとも、この村で相手にできるのはDまでだ」

「よその街とは基準も違うだろうがな」


――そんなものを、薬草採取帰りの子どもが倒したなんて。


誰が信じる。


「ギルドに調査依頼、出すしかないな」

「放っておけば、次は村だ」


大人たちの会話を背に、俺は足早にその場を離れた。

胸の奥が、ずっとざわついている。


家に戻ると、俺はすぐに例のノートを取り出した。


『漆黒黙示録~闇に抱かれし終末の書~』


……改めて見ると、本当に痛々しい。

表紙を開くと、あの剣――暗黒黒影・終焉剣――の設定だけが書かれた一ページ。


それ以外は、相変わらず白紙だった。


「……」


ページをめくった、その瞬間。


白紙の中央に、一瞬だけ黒い染みが浮かぶ。

墨を一滴垂らしたような、不自然な滲み。


「っ……!」


瞬きをした途端、それは消えた。

何事もなかったかのように、真っ白な紙に戻っている。


見間違いか?


いや――違う。


胸の奥が、あの時と同じ熱を帯びていた。


(……使った、からか?)


武器を呼び、技を放った。

その結果、ノートが“反応した”。


理由は分からない。

だが、嫌な確信だけはあった。


――これは、ただの黒歴史ノートじゃない。



「考えすぎ」


そう言ったのは、夕方に訪ねてきたリュカだった。


「ギルドが動くのは当然でしょ。Cランク級の被害だもの」


俺は俯いたまま、ぽつりと聞いた。


「……もし、俺がやったってバレたらさ」

「どうするの?」


リュカは少し考え、肩をすくめる。


「別に」

「死んでないし、村も残ってる」

「それに――」


一拍置いて、続けた。


「あんたが一番ダメージ受けてるのは、剣の名前を口に出したことでしょ」


予想外に軽く言われて、思わず顔を上げた。


「それに」


リュカは俺を見る。

真っ直ぐで、逃げ場のない視線。


「使わなきゃ、あの時死んでたでしょ」


返す言葉が、なかった。


「力があること自体が、悪いわけじゃない」

「問題は、それをどう扱うか、でしょ」


……リュカは、何も問い詰めない。

俺が答えを出せていないことも、分かっている。


それだけで、胸の奥のざわつきが、ほんの少しだけ静まった。


翌朝。


村の入り口に、見慣れない二人組が立っていた。

革鎧に、冒険者ギルドの紋章。


「冒険者……?」


一人は若い男。

もう一人は無精髭の中年。


中年の方が森の方角を一瞥し、低く言う。


「……モンスターが暴れた跡じゃないな」

「ああ。普通の冒険者でもない」


その視線が、村の中をゆっくりと掃く。


――そして、一瞬だけ。


俺のところで止まった……気がした。


心臓が嫌な音を立てる。

だが、彼はすぐに視線を逸らした。


「調査はこれからだ」

「まずは聞き込みだな」


腕に抱えたノートが、じんわりと熱を帯びる。


気のせいだ。

そう思いたかった。


だが、ふと視線を落とすと――


白紙の端に、一瞬だけ、


『次はもっとカッコいい武器』


と書きかけたような跡が浮かび、


すぐに消えた。


「……本気か」


落ちこぼれは、まだ名乗っていない。

だが、黒歴史だけは、完全に臨戦態勢だった。

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