【12話】日常の外へ
12/28から1/3まで1日2話投稿です!
翌朝、空は晴れていた。
「準備は万端か?」
ヴァルドが両手を腰に当て、装備を確認する。
「うん、私たちも大丈夫」
リュカが軽く頷く。
「俺も準備万端っす!」
エリオは元気よく胸を張るが、その帽子がちょっと斜めにずれていた。
俺は胸元のノートを握りしめ、少しだけ緊張する。
(……また反応するんだろうか)
村の入り口で、ギルドのヴァルドとエリオ、そして俺たちは森に向かって歩き出す。
村の人々は畑や家の前から、静かに見送ってくれた。
「森の奥の被害状況を確認しつつ、危険箇所を洗い出す」
ヴァルドが指示する。
「安全なら、村に戻る前に少し採取もしていい」
「え、俺も採取していいの?」
エリオが目を輝かせる。
「お前は仕事が終わってからだ」
ヴァルドが冷静にツッコミを入れる。
「冒険でも観光でもない、調査だ。」
森の中は静かで、昨日の破壊痕があちこちに残っている。
倒れた木、ひび割れた地面、ところどころに黒い焦げ跡。
「やっぱり、前に見たより広範囲だな」
ヴァルドが眉をひそめる。
「でも、危険な気配は……今のところない?」
リュカが木々の間を注意深く見渡す。
「いや、微妙に嫌な気配がする」
ヴァルドが答える。
「森が異常を察知しているというか……なんとも言えない感じだ」
俺は胸元に手を当てる。
ノートはまだ静かだった。
「そういや、昨日は全く反応なかったな」
エリオが小声で言う。
「……つまり今日は?」
ヴァルドが前を指さす。
「気を抜くな。ここから先は、実際の被害の中心だ」
森の奥へ進むにつれ、木々の密度が増し、地面も不規則になっていく。
倒れた枝に注意しながら歩く俺たちの前で、リュカが立ち止まった。
「……あれ」
視線の先には、昨日までとは違う、不自然に黒ずんだ地面。
「焦げてる……だけじゃない」
ヴァルドが近づき、手をかざす。
「魔力の残滓……Cランク級以上の痕跡だ」
「さあ、準備を整えろ」
ヴァルドが言った。
「安全確認と情報収集。怪我だけはするなよ」
「了解!」
エリオがはしゃぎながら武器を握る。
リュカは冷静に、俺は少し緊張しながら、俺たちは森の奥深くへと進んだ。
日常の外へ、一歩踏み出す瞬間だった。




