表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朽津間ビル25階3号室  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/100

第88話 現管理者

 カトウはその場の人間を見回し、やれやれと肩をすくめる。


「どうする。招待されちまったようだが」


「行くしかないだろう。元からその予定じゃないか」


 真っ先に意見を述べたのは葛城だった。

 続けてマナカとヒヨリが拳を突き上げて表明する。


「みんなで乗り込むぞー! 管理者を殺しちゃおう!」


「おー」


 イリエも控えめに挙手をした。

 彼女は拳銃を握って言う。


「わ、私も……管理者に、会いたいです」


 松本に至ってはさっさと歩き出していた。

 彼は振り返ることなく、他の面々に文句を言う。


「遅い。置いていくぞ」


「はははっ、会議終了だな」


 特に反対意見も出ず、一行は血みどろのフロアを進み、細長い通路へ入った。

 荒廃した通路には、首から上のない白骨死体が倒れている。

 通路の奥に到着したカトウは扉に手をかけるが、びくともしない。


「開かねえぞ」


『合言葉をどうぞ』


 扉から音声が発せられた。

 戸惑うカトウは、他の者達に注目されながら応える。


「……ひ、開けゴマ?」


『違います――冗談です、すぐに開けますね』


 扉は間もなく開いた。

 カトウは「くそが」と呟きながら進み、他の者達も続く。

 最上階への階段を上がる最中、イリエは緊張した面持ちだった。


(この先に管理者が……)


 ほどなくして一行は階段を上がり切って二十五階に到着する。

 そこには寂れたフロアが広がっていた。

 崩れた壁は廃材で幾重にも補強され、隙間から夕日が差し込んでいる。


 カトウは室内の様子に拍子抜けする。


「なんだよ。管理者ならもっと小綺麗な場所に住んでいると思ったが」


「修繕する余裕がないか、或いは管理者の趣味かな」


「どっちにしろ共感できないぜ」


 一方、マナカとヒヨリは無邪気に喜んでいた。

 瓦礫をひっくり返したり、あちこちをぺたぺたと触り出している。


「魔王のお城って感じ!」


「うんうん」


 松本は静かに佇み、ナラクから受け取った葉巻とライターを見つめている。

 仏頂面は如何なる感情も映さない。


 イリエは辺りを見回し、フロア内で唯一無事な扉を発見した。

 煤けたプレートには「3号室」と記されている。

 イリエはノックしようとするも、その前にマナカとヒヨリが蹴り開いた。


 無数のモニターとパソコンが設置された室内には、黒いスーツを着た初老の女が立っていた。

 女はイリエ達を前に一礼する。


「こんにちは。朽津間ビル管理者の上原です。よろしくお願いします」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ