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朽津間ビル25階3号室  作者: 結城 からく


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第84話 躍る殺人鬼

 カトウは目の前の殺し合いに唖然とする。


「すげえな。どいつもこいつも大興奮で狂ってやがる。イベントどころじゃないだろ。どうするんだ」


「その前にこれを着けたまえ」


 葛城がイリエとカトウにガスマスクを渡した。

 カトウは怪訝そうに訊く。


「いきなり何だよ」


「フロアに違法薬物が散布されている。これで防ぐといい」


「どうして分かった?」


「匂いでね」


「お前は着けなくていいのか」


「慣れているから問題ないのだよ」


 イリエとカトウは言われた通りにガスマスクを装着した。

 ゴーグルによってやや暗くなった視界の中、イリエは葛城に尋ねる。


「こんなに殺し合って住人はいなくならないんですか?」


「朽津間ビルを無法地帯の天国と思う人間は多く、放っておいてもあちこちから集まってくるのだよ。住人が少ない時期もあるが、いずれまた増える。何十年も滞在している私の経験だから信憑性は高いよ」


「お前、何歳だよ」


 カトウが指摘するも、葛城は肩をすくめて苦笑した。


「女性に年齢を訊くのはマナー違反だと思うがね」


「ハッ、言ってろよ」


 一方、フロア内の殺し合いにも変化が生じつつあった。

 銃火器を持つマナカ、鈍器を振り回すヒヨリが他の殺人鬼を虐殺しているのだ。

 二人の完璧な連携に隙はなく、徒党を組んだ住民が次々と死体となる。

 マナカとヒヨリは返り血まみれで笑っていた。


「あいつら、圧倒的に強えな……」


「若いがビル内でも有名な殺人鬼だからね。半端な輩では手も足も出ないさ。このまま順調にいけば、イベント開始までに他の住民が全滅する展開に……」


 その時、巨体が壁をぶち破ってフロアに転がり込んでくる。

 焼け焦げた大量の手足を揺らすのは怪物ナラクだった。

 ナラクは軌道上の住民を轢き潰しながら勢いよく転がっていく。

 その中にはよそ見をしていたヒヨリも含まれていた。

 反応が遅れたヒヨリは、避ける間もなく巨体の下敷きとなる。


 相方の右腕が千切れ飛ぶ様を見た瞬間、マナカは絶叫した。

 彼女はナラクに向けてありったけの銃弾を叩き込む。


 ナラクは重ねた手で銃弾を遮って距離を詰めると、マナカの胴体を掴んで粉砕した。

 マナカは目を口から出血するも、ニヤリと笑う。

 彼女は背負っていた小型のバズーカ砲を構え、至近距離で発射する。


 刹那、凄まじい爆炎と衝撃がフロア全体に拡散した。

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― 新着の感想 ―
狂ってやがるぜ... マナカヒヨリコンビ好きなタイプの凶人でかなり好きです! ド派手に逝ってほしいですね!
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