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朽津間ビル25階3号室  作者: 結城 からく


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第82話 新たな管理者

 扉の先には地味だが小綺麗なオフィスが広がっていた。

 中央のデスクには一台のパソコンが置いてある。

 残り時間を気にする沢田は、大急ぎでパソコンの前に向かうと、スクリーンセーバーを解除して操作する。

 彼は焦りながらマウスを動かしていた。


「くそ、どうやったら爆発を止められるんだ!?」


「貸してください」


 横から割り込んだコレクターが素早くタイピングを始めた。

 何度か画面を切り替わり、カウントダウンが表示されたページに辿り着く。

 残り一分十二秒だった。


「ここから爆破を停止できますね」


「なんで知ってるんだ」


「知らなかったですよ。今ここで調べて見つけただけですから」


 答えるコレクターは、パソコンに接続された指紋認証の端末に注目する。

 彼は端末を指し示して上原に告げる。


「これであなたを新たな管理者として登録します」


「……はい」


「覚悟はできましたか?」


「できてなくてもやらなきゃいけないんですよね……」


「ええ、爆発で死にたくなければ」


 息を呑んだ上原は、震える指を端末に押し当てた。

 数秒後、電子音が鳴る。

 すぐさまコレクターがパソコンを操作し、カウントダウンを停止させた。

 彼はキーボードから指を離して微笑む。


「これでビルは安全です。上原さんも管理者として登録されました」


「私が……管理者……」


「どうでもいいだろ。さっさと脱出するぞ」


 沢田が上原の手を引っ張って歩き出した。

 コレクターは不思議そうに尋ねる。


「お待ちください。管理者を連れて行くのですか?」


「知ったこっちゃねえよ。上原は俺の助手だ。こんな狂ったビルに置いておくわけねえだろうが」


「しかし管理者が不在となると、朽津間ビルの存続に関わります」


「興味ねえよ。お前らで勝手にやってろ。俺達はもう出ていく」


 沢田がそう言い捨てた直後、出入口の扉が勢いよく開いた。

 現れたのは、朽津間教の代表・野村だった。

 血だらけの野村は、人間の右腕を抱えている。

 それは自殺した田宮のものだった。


 目ざとく気付いたコレクターが指摘する。


「なるほど、考えましたね。田宮さんの手で指紋認証を突破し、ここまで侵入してきたわけですか。古賀さんが殺し損なったせいで、厄介なことになりましたね」


 沢田は野村を注視したまま、拳銃の撃鉄を起こす。

 何かあればいつでも撃てるように意識を張っていた。


 強烈な殺意を受けながらも、野村は動じない。

 数本の歯が欠けた口で、彼はぎこちなく言葉を発する。


「みなご、ろしだ」


 刹那、半狂乱の信者達が室内へ雪崩れ込んできた。

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