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朽津間ビル25階3号室  作者: 結城 からく


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第79話 射抜かれた女

 古賀は呆けた様子で佇む。

 顔の半分が散弾でズタズタに引き裂かれていた。

 露出した頭蓋も割れて脳が覗いている。


「……っ」


 古賀は尻餅をついた。

 瀕死の彼女は、絵画の裏から出てきたコレクターを見て納得する。


「あんたが、裏道を教えたんだね……」


「ええ、おかげで効率的に移動できました! 沢田さんには素晴らしい品をご提供いただきましたので、その見返りというわけです!」


 コレクターは嬉々として解説する。

 その間に沢田が散弾銃を構え、古賀に突き付けた。


「遺言はあるか」


「ふふ……優しい、ねえ」


 笑う古賀の額に銃口が押し付けられた。

 息を吐いた彼女は、上原を見てゆっくりと告げる。


「……あんたの母親が、大嫌いだった……こんな地獄で、愛を育み……誰からも好かれる、あの女が、妬ましかったんだ……あの女……あんたを朽津間ビルから遠ざけたのに……こうして戻ってきた……だから、管理者にして……苦しめよう、と……」


「てめえッ!」


 沢田が激昂し、引き金を引こうとする。

 ところがそれより先に、一本の矢が古賀の片目を射抜いた。

 古賀は驚いた表情で固まる。


「あ、んたは……ッ!?」


「いやぁ、すみません。話が長くて撃っちゃいました」


 沢田の背後――絵画の裏から田宮が遅れて這い出てきた。

 彼はクロスボウを持って苦笑する。

 これまで常に見せていた不安や怯えは微塵も感じられず、不自然なほど穏やかな顔をしていた。


 田宮は古賀の落としたナイフを拾うと、それで彼女の喉を突き刺した。

 返り血を浴びる田宮は、刃先をぐりぐりと動かして語る。


「お久しぶりですね、古賀さん。現体制を崩す革命チームを作っているのは聞きましたが、まさか私怨のために浪費するとは思いませんでしたよ。せっかくの人員がもったいないです。もっと有用な使い方があったのでは?」


「ふ、ざ……ける……な……ァっ!」


 古賀が手を伸ばすも、田宮はひょいと飛び退いて躱した。

 彼は戸惑う沢田から散弾銃をひったくる。


「すみません、ちょっと借りますね」


「えっ、あっ、おい」


「大丈夫ですよ。すぐに返しますから」


 笑顔で応じる田宮は、散弾銃で古賀の頭部を吹き飛ばした。

 首から上の大半を失った古賀は、くたりと倒れて痙攣し始める。

 広がる血だまりが靴を濡らした瞬間、上原は悲鳴を上げた。

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