表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朽津間ビル25階3号室  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/100

第75話 朽津間教

 古賀と上原は階段で二十四階へと向かう。

 二人の前後は、銃火器を携えた男達が固めている。


 途中、二十三階から怒鳴り声と銃声が聞こえてきた。

 上原は足を止めて振り返る。


(あの声、まさか……)


 聞き覚えのある声に上原は動けなくなる。

 そんな彼女の肩を古賀が叩いた。


「何してるんだい。止まらないで進むんだよ」


「でも……」


「あの探偵のことでも考えてるんだろう。とっくにどこかで野垂れ死んでるはずさ」


「そんなことないです! 先生はきっと生きてます! 聞こえてくる声がそうかもしれませんっ!」


 上原は必死に訴える。

 嘆息した古賀は、彼女の腕を掴んで無理やり引っ張った。


「痛っ……」


「ただの勘違いだよ。さっさと歩きな」


 古賀は上原を強引に連れて行く。

 二十四階へと続く階段は、シャッターによって封鎖されていた。

 男の一人がシャッターを調べて言う。


「例の連中ですかね」


「それしかないだろう。二十四階はあいつらのものだからね。まったく、面倒だよ」


 ぼやく古賀が蹴りでシャッターを粉砕し、人間が通れるサイズの穴を開けた。

 彼女はさっさと跨いでフロアに侵入する。


「邪魔するよ」


 二十四階は壁が取り払われて一つの巨大なスペースとなっていた。

 あちこちに幾何学模様が描かれて、数十人の男女が半裸でひれ伏している。

 彼らが祈る先には、巨大なアメジストの結晶が鎮座していた。

 古賀の侵入に気にも留めず、人々は結晶に祈り続けている。


 ただし祭服を着た男だけが怪訝そうに反応した。


「これは……一体何の騒ぎですか」


 祈る人々の間を男が歩いてくる。

 彼は不快感を露わにした目つきで古賀を注視した。


「古賀……まさかあなたが聖域にやってくるとは。とうとう正気を失ったようですね」


「何が聖域だい。勝手にゴール前を占拠する迷惑集団のくせに」


 室内に完全な静寂が訪れる。

 空気が張り詰めて、祭服の男を中心に殺意が膨れ上がっていた。

 対する古賀は平然と挑発を繰り返す。


「確か朽津間教といったね……このビルで宗教なんてナンセンスだろう。アタシだったら恥ずかしくて真似できないよ」


「今の言葉、撤回しなさい」


「嫌だね」


「……後悔することになりますよ」


「そりゃ楽しみだねえ」


 古賀が笑った直後、祭服の男が襲いかかった。

 男の手刀を躱しつつ、古賀は仲間の男達に命じる。


「交渉決裂だ! やっちまいなッ!」


 男達が銃撃を開始する。

 放たれた弾丸が、祈る人々をずたずたに引き裂いていった。

 苦痛と銃声、轟音によって人々は我に返り、泣き喚きながら逃げ惑う。

 男達は接近してくる者だけを選んで排除した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ