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朽津間ビル25階3号室  作者: 結城 からく


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第73話 モニター

 コレクターの先導で向かった先は、大量の凶器が並べられた広い部屋だった。

 複数のモニターが設置され、壁際には銃火器も保管されている。

 入り口を念入りに施錠したコレクターは誇らしげに言う。


「ここがわたくしの拠点です」


「大した設備だな」


「ビル内は危険に満ち溢れていますからね! 備えは欠かさないようにしております!」


 そう答えたコレクターは、田宮の持つ刀を見つめる。

 蕩けそうな目は、正気から逸脱した光をありありと放っていた。

 コレクターは早口で喜びを示し、田宮に歩み寄っていく。


「ヨネさんは朽津間ビルで最古参の殺人鬼でした。愛用の刀はまさに宝物です。いつか手に入れたいとは思っていましたが、こうしてコレクションに加えられて光栄です……!」


「待て。上原の情報が先だ」


 沢田が割り込んでコレクターを止める。

 我に返ったコレクターは、少し恥ずかしそうに咳払いをした。


「失礼しました。こちらをご覧ください」


 コレクターが手元のリモコンを操作すると、モニターが一斉に起動した。

 いずれもビル内の様子を映したものばかりだ。

 そのうち一つに上原と古賀の姿があった。

 沢田が液晶画面を睨む。


「あの婆さん……何のつもりだ」


「古賀さんですね。彼女もビルの古参です。体術の達人で、ビルの現体制を壊すのが目標らしいですよ。上原さんを何らかの策に利用するつもりなのかもしれません」


 コレクターは推測を交えて語る。

 沢田は画面から視線を外さずに質問した。


「これが録画か?」


「いえ、現在の映像です」


「何階だ」


「二十一階です」


「こっちから声は届くか。もしくは向こうの会話は聞けるか」


「申し訳ありません、どちらの機能もないですね」


「いや、十分だ。助かった」


 沢田は田宮から刀をひったくり、それをコレクターに投げ渡した。

 コレクターは大喜びで掴み取る。


「上原さんと合流するのですか?」


「ああ、婆さんが何を考えてるか知らんが、何か嫌な予感がする。さっさと止めに行かねえとな」


「少しお待ちください。これだけ貴重な品をいただいたのです。情報だけでは釣り合わないので、銃火器を差し上げます。どうぞ好きなだけ持って行ってください」


「いいのか?」


「もちろんですとも。これは対価ですから」


 コレクターは満ち足りた表情で微笑む。

 彼にとって替えの利く銃火器などガラクタ同然の価値なのだった。

 髪を撫でつけたコレクターは、一歩前に進み出て提案する。


「それともう一つ。わたくしも同行して沢田さんをサポート致しましょう」


「唐突だな。そこまで頼んだ覚えはないが」


「一緒にいると、新しいコレクションが増えそうな予感がするのですよ! 決してお邪魔はしませんので、どうか許可をお願いします」


 コレクターはいきなり土下座をした。

 これにはさすがの沢田も驚き、渋々と承諾する。


「まあ、別に構わねえが」


「ありがとうございます! ではご恩の分だけ頑張らせていただきますよ!」


 顔を上げたコレクターは田宮を凝視する。

 田宮は後ずさり、曖昧な笑みを浮かべるのであった。

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