第73話 モニター
コレクターの先導で向かった先は、大量の凶器が並べられた広い部屋だった。
複数のモニターが設置され、壁際には銃火器も保管されている。
入り口を念入りに施錠したコレクターは誇らしげに言う。
「ここがわたくしの拠点です」
「大した設備だな」
「ビル内は危険に満ち溢れていますからね! 備えは欠かさないようにしております!」
そう答えたコレクターは、田宮の持つ刀を見つめる。
蕩けそうな目は、正気から逸脱した光をありありと放っていた。
コレクターは早口で喜びを示し、田宮に歩み寄っていく。
「ヨネさんは朽津間ビルで最古参の殺人鬼でした。愛用の刀はまさに宝物です。いつか手に入れたいとは思っていましたが、こうしてコレクションに加えられて光栄です……!」
「待て。上原の情報が先だ」
沢田が割り込んでコレクターを止める。
我に返ったコレクターは、少し恥ずかしそうに咳払いをした。
「失礼しました。こちらをご覧ください」
コレクターが手元のリモコンを操作すると、モニターが一斉に起動した。
いずれもビル内の様子を映したものばかりだ。
そのうち一つに上原と古賀の姿があった。
沢田が液晶画面を睨む。
「あの婆さん……何のつもりだ」
「古賀さんですね。彼女もビルの古参です。体術の達人で、ビルの現体制を壊すのが目標らしいですよ。上原さんを何らかの策に利用するつもりなのかもしれません」
コレクターは推測を交えて語る。
沢田は画面から視線を外さずに質問した。
「これが録画か?」
「いえ、現在の映像です」
「何階だ」
「二十一階です」
「こっちから声は届くか。もしくは向こうの会話は聞けるか」
「申し訳ありません、どちらの機能もないですね」
「いや、十分だ。助かった」
沢田は田宮から刀をひったくり、それをコレクターに投げ渡した。
コレクターは大喜びで掴み取る。
「上原さんと合流するのですか?」
「ああ、婆さんが何を考えてるか知らんが、何か嫌な予感がする。さっさと止めに行かねえとな」
「少しお待ちください。これだけ貴重な品をいただいたのです。情報だけでは釣り合わないので、銃火器を差し上げます。どうぞ好きなだけ持って行ってください」
「いいのか?」
「もちろんですとも。これは対価ですから」
コレクターは満ち足りた表情で微笑む。
彼にとって替えの利く銃火器などガラクタ同然の価値なのだった。
髪を撫でつけたコレクターは、一歩前に進み出て提案する。
「それともう一つ。わたくしも同行して沢田さんをサポート致しましょう」
「唐突だな。そこまで頼んだ覚えはないが」
「一緒にいると、新しいコレクションが増えそうな予感がするのですよ! 決してお邪魔はしませんので、どうか許可をお願いします」
コレクターはいきなり土下座をした。
これにはさすがの沢田も驚き、渋々と承諾する。
「まあ、別に構わねえが」
「ありがとうございます! ではご恩の分だけ頑張らせていただきますよ!」
顔を上げたコレクターは田宮を凝視する。
田宮は後ずさり、曖昧な笑みを浮かべるのであった。




