第67話 改造完了
数時間後、葛城は涼しい笑みでメスを置いた。
彼女は起き上がったカトウに尋ねる。
「さて、具合はどうだね」
「悪くない。これなら問題なく動けそうだ」
裸のカトウは畳んだ服を着ながら答える。
彼の全身には無数の縫合痕や火傷、銃創、痣が刻まれていた。
傷のない箇所を探すのが難しいくらいである。
歩き出したカトウは、未だに片脚を引きずっていた。
そこには抉れたような古傷があった。
葛城はその脚を見て問う。
「本当に治さなくていいのかね」
「ああ、いらねえ。なんとなく残した方がいい気がするんだ。どういう経緯でこうなったのかは忘れちまったが」
カトウは片脚を小突く。
葛城は顎を撫でつつ、懐かしそうに語った。
「傷の原因は私も知らない。だが、君は毎回そう言って治療を断るんだ。よほど大切な思い出が関わっているのだろうね」
「そうか……」
「まあ、二十五階に行けば答えは自ずと分かる。楽しみにしたまえ」
そこで会話を切り上げた葛城は、別室へと移動する。
布団が敷き詰められたその部屋では、マナカとヒヨリが枕を投げ合っていた。
部屋の端には枕に埋まったイリエが倒れているが、命に別状はないようだ。
「君達の調子はどうかな」
「バッチリだよ!」
「いい感じ」
笑うマナカとヒヨリの肉体は、各所に金属装甲や機械部品が追加されていた。
ただし、ナベのような大幅な改造ではなく、あくまでも補助や治療と言える範疇に留められている。
人格面にも影響はないようだった。
葛城は不敵に笑い、マナカの肩を叩く。
「君達にはたくさんの武器を仕込んでみた。たとえば、欠損した指は小型拳銃にしたよ」
「どうやって撃つの?」
「指の付け根のボタンを押すと発射できる」
マナカが説明通りに動くと、機械の指から弾丸が放たれた。
弾丸はイリエの耳を掠めるように飛び、壁に穴を開ける。
イリエは「ひっ」と悲鳴を洩らした。
一方で成果を目の当たりにしたマナカとヒヨリは大喜びだった。
「わー! すごーい!」
「かっこいいね」
「他にも様々な武装がある。説明書を作ったから目を通しておくといい」
葛城は二人に破ったノートの用紙を渡す。
二人は目を輝かせて読み始めた。
「すごいね! 最高じゃん!」
「もっと早く改造してもらえばよかったね」
「改造ではなく治療と呼んでほしいね」
陽気に話す三人をよそに、イリエはぐったりと布団に寝転んでいた。




