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朽津間ビル25階3号室  作者: 結城 からく


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第15話 暗闇の戦闘

 反響する銃声に釣られて、暗闇から五人の男達が顔を出す。

 今まで息を潜めていた彼らは、マナカ達の運ぶイリエに注目する。


「女……新しい女……」


「いいぞ、奪っちまおう」


「高く売れるよな」


「馬鹿、食った方がいいだろ」


「その前に犯そうぜ」


 好き勝手な欲望を囁きながら、男達は鈍器や刃物を手にした。

 そして、足場を巧みに飛び移ってマナカ達に接近する。


 殺意を露わにした突進は、常人ならパニックに陥る光景だろう。

 しかし、マナカとヒヨリは朽津間ビルの住人である。

 彼女達の精神は常人から逸脱しており、迫る敵を前に冷静だった。


「あーあ、見つかった」


「殺すしかないね」


「うんうん。時間がかかるほど集まっちゃうし」


 嘆いたマナカは膝立ちになって発砲する。

 彼女の放った弾は、先行していた二人を射殺した。

 その隙に別の男がマナカを刺そうとするも、フルスイングのバットが妨害する。


「よいしょ」


 ヒヨリの打撃が包丁を弾き、さらに男の顔面にクリーンヒットした。

 ひっくり返った男は白目を剥いて痙攣する。

 冷めた目のヒヨリは、首に追撃を加えて息の根を止めた。


 血の付いたバットを回し、彼女はマナカに告げる。


「次、来るよ」


「分かってるって!」


 マナカは素早く拳銃を連射する。

 残る二人の男は、弾を受けて体勢を崩した。

 そこにヒヨリが跳びかかり、電光石火の早業で撲殺する。


 バットを置いたヒヨリは、死体の持ち物を探る。

 拳銃の弾倉を交換するマナカが、周囲を警戒しつつ尋ねた。


「何かあったー?」


「……テレビのリモコン?」


「中の電池だけ貰っとこうよ」


「はーい」


 指示に従うヒヨリは、近くの壁に横穴を見つける。

 穴の奥で、小さな灯りがちらちらと揺れていた。

 人影らしきものも見え隠れしている。


 ヒヨリは横穴を指差して報告した。


「ねえ、この奥に誰か住んでる」


「ついでに殺っとくかー。後で攻撃されても厄介だし」


 イリエを置いたマナカは、ロープを使って横穴によじ登った。

 横穴は長さ十メートルほどで、側面や上部が廃材で補強されている。

 そこかしこで軋むような音が鳴り、お世辞にも耐久性が優れているとは言えない。

 奥では小さなランプが光り、小柄な老人が座り込んでいた。

 老人の目が、マナカを凝視していた。

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